● フロイド・テイラー～ジョニー・テイラーの息子～死去

● フロイド・テイラー～ジョニー・テイラーの息子～死去

【Blues Singer Floyd Taylor Dies At 60】

訃報。

ブルーズ、リズム＆ブルーズ・シンガーとして活動していたフロイド・テイラーが2014年2月20日、シカゴの自宅で就寝中に死去した。どうやら心臓発作らしい。60歳。父は「フーズ・ラヴィン・ユー」や「ディスコ・レイディー」の大ヒットで知られるジョニー・テイラー。詳細な死因、なにか病気を持っていたかなどは不明。フロイドの弟TJフッカー・テイラーによれば、兄フロイドは、最近「ブルーズ・イズ・オールライト・ツアー」に参加しており、このツアーで海外に行く予定もあったという。

評伝。

フロイド・テイラーは、1954年1月25日シカゴに生まれた。母親ミルドレッドの姓がシングルタリー(Singletary)でしばらくフロイド・シングルタリーと名乗っていた。父ジョニーは1934年5月5日生まれ（2000年5月31日66歳で死去）なので、ジョニーが19歳のときの子供で、第一子。

幼少の頃は信心深い母親に連れられて教会に行きゴスペルを歌う。ハイスクール時代からバンド活動を始めたが、当初は同地の「チルドレンズ・メモリアル・ホスピタル」という病院などで昼間の仕事をしつつ、プロ・シンガーのキャリアを目指した。アマチュア時代にシカゴのリーガル・シアターのステージに上がったこともあった。

1970年代初期からときどき、父ジョニーのステージに帯同していたようだが、1976年、「ディスコ・レイディー」の大ヒットを出すと、21歳になっていたフロイドは父のツアーにレギュラー的に帯同するようになった。この頃に父はナタリー・コール、パーティー・ラベール、アリーサ・フランクリン、ボビー・ウーマックなど当時の人気ソウル・アーティストたちと共演していたので、そうしたアーティストたちとも知己を得た。1998年、シカゴの「シカゴ・ブルーズ・ソサエティー」が選ぶ「エンタテイナー・オブ・ジ・イヤー」に。これを機に2002年、南部のマラコ・レコードと契約、アルバム4枚を出した。本人も、「マラコとの契約が自身の中で最大のターニング・ポイントだった」と言っている。

フロイドのこうしたアルバム、作品を聞くと、やはり、父ジョニー・テイラーの影がでている。顔立ちや雰囲気なども、よく似ている。

アメリカでは一般的には「ブルーズ・シンガー」とされているが、本人はインタヴューで「自分の音楽はトラディショナルなR&Bだ。僕はブルーズ・シンガーではなく、R&Bシンガー、ソウル・マンだよ」と答えている。

R&B、ソウル・チャートに登場したヒット曲はないが、南部のローカル・ラジオではエア・プレイを得ていたようだ。

フロイドの1枚目から3枚目は、アラバマのマスル・ショールズ・サウンド・スタジオとマラコ・スタジオなどでレコーディングされている。父ジョニー・テイラーもスタックス時代の『テイラード・イン・シルク』をマスル・ショールズで録音している。また、ジョニー自身もマラコ・レコードに所属していた。

最近、『Shut Um’ Down』（Artia Records）を出したが、これが遺作となった。

Album Discography

"Legacy" (Malaco 2002)

1. I'm Crazy 'Bout That Woman in Red
2. When We Touch
3. She Ain't Mine
4. Old School Style
5. I Love Being in Love With You
6. I'm in Love With the Girl Next Door
7. Fantasy Lady
8. Caught Between Two Hearts
9. Back-Up Lovin'
10. Part-Time Lover
11. When You Finally Realize