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Channel: 吉岡正晴のソウル・サーチン
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◇(続)「マッスル・ショールズ」~『フェイム・スタジオ・ドキュメンタリー』~グーグルマップでスタ

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◇(続)「マッスル・ショールズ」~『フェイム・スタジオ・ドキュメンタリー』~グーグルマップでスタジオ訪問

【Muscle Shoals: Fame Studio Documentary】

続。

昨日の本ブログでもご紹介した1970年に制作されたスウェーデンのテレビ局の『フェイム・スタジオ・ドキュメンタリー』。とても貴重なもので、これがユーチューブにアップされているのを発見したのは本当に驚いた。

この映像では、ウィリー・ハイタワーのジョー・サウス曲を録音する過程がうまく撮影されているが、このジョー・サウスのヴァージョンは1970年1月からヒットし、ポップ・チャートで12位を記録。ジョーのものは当時キャピトルから出ていたが、自身のフェイム・レコードをキャピトルが配給していた関係で、リック・ホールはこれをいち早く聞いた。そこで、リックはジョー・サウスのヴァージョンは少しパンチにかける印象を持ち、よりR&Bっぽい曲にしようとウィリー・ハイタワーでカヴァーすることになる。

ウィリーのヴァージョンは、1970年4月からヒットし、ソウル・チャートで26位を記録。結果的にジョー・サウスのオリジナルを超えるヒットにはならなかったが、そのレコーディングの様子のアーカイヴは貴重だ。

ジョー・サウスのヴァージョンを聴いてパンチがないと感じて、ソウルフルなウィリー・ハイタワーのヴァージョンを作るリック・ホールって本当にソウルのプロデューサーだな、と痛感した。これぞリック・ホールのソウル・プロデューサーとしての神髄を垣間見た気がした。

Joe South- Walk A Mile In My Shoes
これを聴いてパンチが足りないと思ったリック・ホールは、これをソウルフルにしてウィリー・ハイタワー・ヴァージョンを作る

http://www.youtube.com/watch?v=iX-G3S49ty0



Willie Hightower -Walk A Mile In My Shoes
実にソウルフル。

http://www.youtube.com/watch?v=agSnJR_LZyI



そして、この曲、エルヴィス・プレスリーもカヴァーしています。

Elvis Presley – Walk A Mile In My Shoes
http://youtu.be/ov9fjaRZT4E



僕はあの中で、シンガーたちがバック・コーラスを付けるシーンがなんとも言えず気に入った。譜面もなく、音を聞きながら、こんな感じでこういうコーラスをいれよう、とやっている姿がまさに自然だ。

~~~

ファミリー。

このドキュメンタリーの中で、マッスル・ショールズはメンフィスともデトロイトとも違うという証言がでる。南部は教会でのゴスペルとブルーズが根っこにあり、デトロイトなどの大都会はよりサウンドが洗練されている、という指摘がなされる。

また南部のほうがパンチのあるビートがハードなものが多い、へヴィーなバックビート、そして、ファンキーだ、ともいう。

また、ニューヨークに出向いたアレンジャー、ソニー・リンボがニューヨークはスタジオに決まった時間に集まり、お互いよく知らず、名前もファーストネームくらいしかわからず、レコーディングが終わったらみなバラバラに帰っていく。だが、ここマッスル・ショールズではみんなが一緒に最初から最後までスタジオで音を作る、南部ではお互い誰もが誰もを知っている、こっちのほうが好きだ、といったようなことを証言し、都会のレコーディング・セッションとの違いを浮き彫りにする。

南部の人たちは、みんなファミリーなのだ。

この中からいくつかのシーンが『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』でも使われているが、そのもともとのモノクロの映像に映しだされる1960年代後期のマッスル・ショールズの様子は本当に昔のアメリカという感じがする。

リック・ホールが町中を運転しながら、このマッスル・ショールズは誰からも電話もかかってこない、自然も多く、みんながヴァケーションにやってくるような感じで過ごす。僕がここでスタジオをやっているなんてことも誰もしらないよ。ローリング・ストーンズの連中が来たときも、町の誰も彼らが来ていたなんて知らなかったんだよ、というあたりにこの町ののんびりした様子がうかがえる。

あのモノクロ映像を見ていて、僕は昔大好きだったアメリカのテレビドラマ『逃亡者』の初期のものを思い浮かべた。初期のものはみなモノクロで放送されていたのだが、主人公のリチャード・キンブルは全米を逃げ回る。その場所がけっこうあんな感じの田舎町なのだ。まさかリチャード・キンブルはマッスル・ショールズには行ってないと思うが、彼は全米50州のうち30数州に行ったそうなので、アラバマ州のどこかには行ってるにちがいない。

FAME Studio Documentary – 1970
http://youtu.be/X9iuOXQaKo8



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グーグル・マップ。

さて、映画が公開されて、その感想などがたくさんツイッターやブログなどで紹介されている。可能な限り読んでいるが、それぞれの感想を読むと、改めて感じるものもあったり、違った感想にはっとしたりする。

そんな中で、フェイム・スタジオやマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオの現状のグーグル・マップのリンクを張っていた方がいたので、それをご紹介しよう。

フェイム・スタジオ。ふつうの道沿いにある。マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオも同じくで、周りにはいくらでも車を止められる。

フェイム・スタジオ
https://www.google.co.jp/maps/@34.74482,-87.667006,3a,75y,53.53h,101.59t/data=!3m4!1e1!3m2!1sMmqkiQIodofwvvVa0020ew!2e0?hl=ja

ちなみに昔、1960年代のフェイム・スタジオ外観。
https://www.google.co.jp/maps/@34.745069,-87.666606,3a,75y,90t/data=!3m5!1e2!3m3!1s37336637!2e1!3e10?hl=ja

https://www.google.co.jp/maps/@34.745196,-87.667009,3a,75y,90t/data=!3m5!1e2!3m3!1s86834098!2e1!3e10?hl=ja

https://www.google.co.jp/maps/@34.745144,-87.667676,3a,66y,90.17h,92t/data=!3m4!1e1!3m2!1s86oM9JjRn3p51AK_V4joRQ!2e0?hl=ja

そして、3614ジャクソン・ハイウェイにあるマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ。おそらく、この写真から見るにけっこう小さな建物のような感じだ。

https://www.google.co.jp/maps/@34.768038,-87.67427,3a,75y,130.49h,92.02t/data=!3m4!1e1!3m2!1sAIReHpX6MY0Rbtxn7JfeGQ!2e0?hl=ja

■関連記事

(続)『マッスル・ショールズ』~1970年のスウェーデンのドキュメンタリー映像登場
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11895265943.html
過去関連記事一覧。

ENT>MOVIE>Muscle Shoals





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