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Channel: 吉岡正晴のソウル・サーチン
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◎フィリップ・ウー・ライヴ~キーボード・ウィザードの「忘年会」

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◎フィリップ・ウー・ライヴ~キーボード・ウィザードの「忘年会」

【Philip Woo; Soulful Keyboard Wizard’s Gig】

忘年会。

いまや日本で育ったホーム・グロウン・ソウルのライヴではピカイチの存在となったフィリップ・ウーのバンド・ライヴ。だいたい年2回(6月と12月)に行われるこのソウル・ショーは、オールド・スクール・ソウル・ファンにとってはたまらないライヴ・ショーだ。

この日も16曲のソウル・クラシック、レア・ソウルが披露された。くしくも、ジョー・サンプル、ジョージ・デューク、ジョー・コッカー、ボビー・ウォーマックなど最近亡くなったアーティストたちのトリビュート曲も増えてきた。

今回、僕の個人的なハイライトは、1960年代にムゲンなどで活躍してきた伝説のソウル・バンド、ザ・ハウス・ロッカーズのリード・シンガーの一人、チェット・フォーチューンが2曲歌ってくれたこと。実は前々からフィリップにチェットの存在を伝え、このライヴにゲスト的に入って歌ってもらえないかと頼んでいたのだが、同時にサックスのアンディー・ウルフからもフィリップに推薦の言葉があり、この日実現した。

僕も生の歌声を聴くのは初めてだったが、噂にたがわず現役感ばりばりのソウル・シンガーだった。この日は、マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」、サム&デイヴの「ホールド・オン・アイム・カミング」を歌ったが、よく通るソウルフル・ヴォイス、そして、かなりライヴをやりこんできたことがうかがえるステージ・パフォーマンスは、ちょっとしたヴェテランの味を出していた。

当初は半信半疑だったフィリップも結果は気に入ったようで、チェットもいつかフィリップと一緒にライヴをやりたい、と言っていた。

チェットのオフィシャル・サイト
http://www.chetfortune.com/

いつも選曲が素晴らしいが、この日も楽しませ、また、じっくり聴かせるものをうまくとりまぜていた。(詳細は下記セットリスト参照。オリジナル・アーティスト名も記してあります)

なによりメイン・シンガーのアシュトン・ムーアの多様性が光る。ボビー・ウォーマック、オーティス・レディング、マーヴィン・ゲイなどじつにそつなくこなす。この日、ひじょうに僕がいいと思ったのは、意外なことにボブ・ディラン作品でジョー・コッカー・トリビュートとなった「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」という曲。僕の周りは(チェットやドラマーのランド・リチャーズ)、誰もこの曲を知らなかったが、アシュトンがダニー・ハザウェイ風にこの曲を解釈し、実に味わい深かった。

アシュトンはフィリップから提案された曲をなんでもすぐに勉強して自分のものにしてしまう実に勉強家であり、才能あふれるシンガーだ。

そのアシュトンとポーラ・ジョンソンの娘であるニッキ・ジョンソンがデュエットで歌うビリー・プレストン&シリータのデュエットで知られる「ウィズ・ユー・アイム・ボーン・アゲイン」も二人とも立派なパフォーマンスで聴かせた。

セット2の3曲目、マーヴィン・ゲイ・メドレーはなんとアルバム『ホワッツ・ゴーイング・オン』のB面3曲をすべてそのままメドレーでやる、という試み。これはすばらしい企画。

フィリップは6台かな、キーボードを駆使していた。キーボード・ウィザードだ。

最後パーラメントでは総立ち、アンコールのスティーヴィーも総立ち。聴いてよし、踊って良し、ほんと、たっぷり休憩はさんで3時間以上楽しめるライヴ、しかも、これが日本でみられるのだから、お値打ちなライヴだ。

~~~

この日、リハーサルからチェットと会って、いろいろ話をした。また、前日ブルーノートで見たディー・ディー・ブリッジウォーターの妹姉妹が来ていて紹介された。世の中、狭い。このあたりについてはまた後日。

■メンバー

(HAMMOND B-3 / Fender Rhodes / Harp) Philip Woo 
(Vo)Ashton Moore、
Tahirih Walker、
J'Nique Johnson、
Rivonne Moore 
(G)Hank Nishiyama
(B)Clifford Archer 
(Ds)Jay Stixx
(Sax/Fl/Key)Andy Wulf 
(Trombone) Todd Lowery
(Sax) Hiromu Takahashi

■セットリスト
[ ] denotes original artists
( ) denotes lead singer tonight

Show started 19:49
01. There Are Many Stops Along The Way [Joe Sample] (Instrumental)
02. Nobody Wants You When You’re Down And Out [Bobby Womack] (Ashton)
03. If You Don’t Want My Love [Bobby Womack] (Ashton) (From Soundtrack “Across 110th Street)
04. The Real Thing [Sergio Mendes] (All)
05. Let’s Get It On [Marvin Gaye] (Chet Fortune)
06. With You I’m Born Again [Billy Preston & Syreeta] (Ashton & Niki)
07. Just Like A Woman [Bob Dylan, Joe Cocker] (Ashton)
08. The Glow Of Love [Change, Luther Vandross] (All)
Performance ended 20:56

Performance started 21:28
01. I Want You For Myself [George Duke] (Niki & All)
02. School Boy Crush [Average White Band] (Ashton)
03. Marvin Gaye Medley:
  a)Save The Children
  b)God Is Love
  c)Mercy Mercy Me (Ashton)
04. If You Don’t Believe [Deniece Williams] (Rivonne)
05. Try A Little Tenderness [Otis Redding] (Ashton)
06. Hold On I’m Coming [Sam & Dave] (Chet Fortune)
07. Tear The Roof Off The Sucker (Give Up The Funk) [Parliament] (All)
Enc. Another Star [Stevie Wonder] (All)
Show ended 22:39

(2014年12月26日(金)、メグロブルース・アレイ、フィリップ・ウー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Woo, Philip

チェットが歌った「ホールド・オン・アイム・カミン」収録のハウス・ロッカーズの幻のデビュー作

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