◎ケニヤの楽器ニャティティ奏者、アニャンゴ新作発売ライヴ~ワールド・ミュージックでグラミーを(パート1)
【Nyatiti Player Anyango’s New CD “Savanna” Support Live】
(長くなってしまったので、今日と明日の2パートにわけます)
初体験。
アフリカ・ケニアにあるニャティティというギターのような弦楽器に魅せられ、ケニヤのルオーという民族(ルオー族は同国の主要民族第4位の人口)の元で修行をし、ついにはそれをマスター。日本でレコード(CD)を出すこと、これで6枚目になるというアニャンゴさんが、最新作『サバンナ(サヴァンナ)』リリースのライヴを2015年10月28日(水)、銀座ヤマハ・スタジオで行った。
このところ深町純アーカイヴ・プロジェクトで毎月お会いする音楽プロデューサー、宗像さんから話を聞き、興味を持ったところ、ライヴがあるのでいかがですかと誘われて足を運んだ。会場に着くと、隣には鈴木桃子さん、前にはあちこちでよく会うマイケル・ディ・スタシオさん(今回レコーディングでお手伝いしたという)、そして、ステージにはベースにノリ塩田さんがいた。しかし、ちょっと調べてみると、すでにかなりのキャリアを持ち、あちこちに露出していた。
僕は、今週は月曜にニューオーリンズのブークー・グルーヴ、水曜にこのケニヤの楽器を使ったアニャンゴ、そして、金曜にはロスのカマシ・ワシントンと、初めて見る、初体験ライヴが3本も続いてかなり面白く刺激的。
アニャンゴさんは正真正銘の日本人で、1981年東京品川区出身。本名向山恵里子さん。アニャンゴとはアフリカのルオー族からもらった名前でルオー語で「午前中に生まれた女の子」という意味だそうだ。かの地では、女性が「ア」から始まる言葉で、男性が「オ」から始まる単語で名前になるという。現アメリカ大統領の父はこの地の出身で、だから、オバマとなる。
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ニャティティ。
ニャティティという楽器がどんなものかというと、こんな楽器。百聞(百文字)は一見にしかず↓
Anyango (Mukoyama Eriko) – Jaugenya (ジャンゲイニャ)
https://www.youtube.com/watch?v=U5cyL2NGbMk
この日一曲目で歌われた曲
これを見るとわかるように、ニャティティはこの弦楽器のほかに足に付けた鈴でリズムを作る。弦のプレイ、足を使った鈴のパーカッション的奏法、そして、歌と一人三役をこなす。
ニャティティは、古代エジプトの竪琴(リラ)と同じルーツを持つという。
Anyango / Ogwang (プロモーション用ミュージック・ビデオ)
https://www.youtube.com/watch?v=fIzoGArW6Wg
この日アンコールで歌われた曲。これなんて、ダンス用ミックスが十分にできる。ディスコでもかかりそう。
Anyango, "Jau Ugenya, / To Be Free" | Antelope Audio
https://www.youtube.com/watch?v=2EIE-Enu_30
この日一曲目で歌われた曲
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世界初。
2005年、ケニヤの首都ナイロビから車で十時間、さらに歩いて数時間という水も電気も来ていない村に行き、このニャティティを習いたいと直訴。そこではこの楽器は地元の男しか演奏できないとけんもほろろだったが、彼女の熱意が通じてなんとか触ることができるようになり、ついには名人自ら教えてくれることになり、演奏法をマスターしたという。こうして彼女は世界で初めての外国人、それも女性のニャティティ奏者となった。そして2007年には、ケニヤ国内でちょっとした有名人になり、同地のテレビ、新聞、ラジオなどで取り上げられ、街を歩くと「アニャンゴ!」と声をかけられるほどになった。
帰国後も精力的な活動を続け、2010年8月にはフジロックにも登場、また2010年11月にはテレビの『徹子の部屋』にも出演している。
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グルーヴ。
もちろん、僕もこのニャティティという楽器の現物を見るのも聞くのも初めてだったが、バンドとともに実に躍動感ある、そして、グルーヴのあるライヴになっていた。アフリカの音楽を今風のものにし、いわゆるワールド・ミュージックとしてとても聞きごたえのあるものになっていた。しかも、彼女は透明感のある歌声も聴かせる。歌詞がアフリカの言語(スワヒリ語かルオー語?)のためもちろん意味はまったくわからない。なので、MCで曲についての一言解説などがあると、より理解が深まると思う。
ヴァイオリンの金子飛鳥さんは、現在セント・ルイス(ミズーリ州)と日本を行き来しているそうで、その演奏は実にファンキーでグルーヴ感にあふれていた。ヴァイオリンがこんなにのりのりにファンキーになるなんて、シック(ナイル・ロジャーズ)が以前ストリングスをいれてやったのを見て以来。金子さんは前作のアルバムのプロデューサー。
パーカッションのラティールさんはときどき歌も歌うが、これがドラムス代わりにグルーヴを生む。彼はセネガル出身で日本に来て21年。現在43歳の彼は、来年で人生半分を日本で過ごすことになる。日本でいろいろなセッションに参加しているそうだ。
セネガルはアフリカ大陸の最西端。一方ケニヤは最東端。その2人がまったく違うファー・イースト(極東)の日本で同じステージに立つというのもおもしろい。
そして、ベースのノリ塩田さんは、アップライト・ベースでかなりのグルーヴを生み出していたが、後半エレキ・ベースをプレイするときなどはステージ上ではねるはねる。さすがにベース奏者はノリがいい。彼はこの最新作『サヴァンナ』のプロデューサーでもある。つまりこの日はアニャンゴの前作、最新作の両プロデューサーが同じステージに立っているわけだ。
(この項、明日へ続く)
■オフィシャル・サイト
http://anyango.com/
■セットリスト アニャンゴ・サヴァンナ・ライヴ@ヤマハ銀座スタジオ 2015年10月28日(水)
Show started 19:35
01. Jaugenya – To Be Free
02. Kizashi (Electro)
03. Afro Blue
04. Last Waltz
05. 声をきかせて
06. Weche Ngayn
07. Kariobangi featuring Kayamba
08. Old Violin
09. Mwana Wa Mberi (Electro)
Enc. Ogwang
Enc. Ne Nyako
Show ended 21:17
■メンバー
アニャンゴ Anyango (ニャティティ、ヴォーカル)
金子飛鳥 Kaneko Aska (ヴィオリン)
塩田哲嗣 Shiota Norihide (ベース)
ラティール・シー Latyr Sy (パーカッション)
(2015年10月28日水曜、ヤマハ銀座スタジオ、アニャンゴ・ライヴ)
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最新作6作目『アニャンゴ~サバンナ』(2015年10月18日発売)
このアルバムについての本人の解説
http://anyango.com/savanna/index.php
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5作目『キリマンジャロ』(2014年9月28日発売)
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