◎レイラ・ハサウェイ・ライヴ(パート1)~「レイラ・ピリオド」の美しい姿
【Lalah Hathaway Live (Part 1) At Blue Note: Beautiful Scene Of "Lalah. (period)】
(これからご覧になる方で、ネタバレを知りたくない方は、ライヴ後にご覧ください)
積年。
2003年8月17日、東京国際フォーラムでレイラ・ハサウェイはテイク6、マーカス・ミラーとのステージで、「サムディ・ウィル・オール・ビー・フリー」を歌った。彼女が父ダニー・ハサウェイの作品を歌うところを初めて目撃した瞬間だった。この日は1曲目に「ジェラス・ガイ」を歌っている。これは、ジョン・レノン作品だが、ダニーのレパートリーとしてもよく知られているので、そこでも彼女は初めて「父の曲に触った」わけだ。(ただアメリカのライヴでダニー作品をこれより前に歌っている可能性もあるが、日本で歌われたのがこの日が初めて)
そのときの興奮模様が描かれている「ソウル・サーチン・ブログ」↓
Standing In The Shadows Of Legacy: Finally, Lalah Sings…
[2003/08/19]
http://www.soulsearchin.com/blog_archives/?p=547
これには若干の伏線があった。これに先立つ4か月ほどまえ、レイラはまもなく発売されるダニー・ハサウェイの『アンソロジー』アルバムのアドヴァンス・コピーを手に入れ、それをずっと聴いていたのだ。
そのエントリーは今はリンクが消えているが、その内容の一部がこのブログに残っている。
2003/04/30 (Wed)
Knocking on Father's Door
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200304/diary20030430.html
ここにも書かれているが、レイラに1990年6月と2001年11月にインタヴューしたときに、ナタリー・コールが「アンフォーゲッタブル」で録音したような故人とのゴースト・デュエットを歌うつもりはあるか、と尋ね、瞬間に「ない」ときっぱり言われたことがひじょうに印象に残っている。
いわば彼女も2世シンガー、ナタリーと同じように父を避けながら人生を歩んできた。それが意識的にせよ、無意識にせよ、だ。
そんな彼女がついにダニーの曲を歌ったということが画期的だった。その後、フランク・マッコムとの共演でダニー作品を多く歌い、2003年から12年の歳月を経てついに彼女は父親がライヴを録音した同じ会場で、父の曲などをいくつかレコーディングし、アルバムとして発表した。
つまり、ある意味避けていた父親をこのアルバムで完全に受け入れたのである。
それがこれだ。
レイラ・ハサウェイ『ライヴ』(最新作、2015年11月発売)
日本盤
http://goo.gl/Ce5gDR
AGATE (2015-11-08)
売り上げランキング: 5,265
輸入盤
http://goo.gl/0v0OD8
Ent. One Music (2015-10-30)
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新譜評(毎日新聞サイト)
http://mainichi.jp/articles/20151111/dde/012/070/015000c
まわりからも、もっとダニーの歌を歌ったらどうかと言われ続けるものの、自分自身が納得できなければ歌えない。それが自分なりにやっと心の決着がついて録音したのがこれだ。
このコンセプトだけで、彼女の長年の思い、苦悩と期待が凝縮されていることがわかる。
そして、そのリリースを受けての今回のライヴだ。期待値はこれ以上上がるほどないほど上がっている。
~~~
3年ぶり。
レイラ・ハサウェイの2012年1月以来、3年11か月ぶりの自己名義単独ライヴがブルーノート東京で、2015年12月23日から3夜連続で始まった。(来日は2013年、ロバート・グラスパーの客演以来)
2014年スナーキー・パピーとの「サムシング」がグラミー賞ベストR&Bパフォーマンス、さらに2015年ロバート・グラスパーとの「ジーザス・チルドレン」がグラミー賞ベスト・トラディショナル・R&B部門を受賞。まさに一回りスケールの大きなアーティストとなって帰ってきた。
ペリスコープというアプリで録画した本人の動画がレイラのツイッター・アカウントに投稿されている。基本的には投稿から24時間、ツイッターで見られる。
https://www.periscope.tv/w/1MnxnVOnBokxO
https://www.periscope.tv/w/1gqxvwWBjdQKB
今回は、前回にも増してバンドがタイトになっている。特にドラムス、エリック・シーツ、ギター、アイザイア・シャーキー(D以来の来日)、ベースのエリック・スミスのリズム隊は超強力だ。
そして、グラミーを取ったということからか、彼女のパフォーマンスはかつてないほど自信にあふれている感じがした。
アンコールにダニーの「ディス・クリスマス」となれば、このシーズンにあまりにはまりすぎだ。こんな完璧なシチュエーションはない。
基本的なライヴ・パフォーマンスについては下記の前回ライヴ評などを参照されたい。彼女のステージ裁き、ミュージシャンシップ、音楽に対する姿勢などは、昔からまったく変わらない。彼女が受賞したアワードなどにより知名度が上がり、周囲の受け止め方が大きく変わっているだけだ。
加えて言えば、本稿ではダニーのことを書いているが、もはや数年前から彼女のパフォーマンスは、ダニーの呪縛から十分に解き放たれている。まさに、ダニーの名も必要ないほど、自立した一(いち)アーティスト「レイラ・ハサウェイ」「Lalah.(Lalah period)レイラ・ピリオド」になっている。今回のライヴはダニーの影がありつつ、そこから十分独立、解放された彼女の真の姿を感じた。
前回ライヴ評
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11131254057.html
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11128363653.html
セカンド・セット後はサイン会。
(この項、続く)
■レイラ・ハサウェイ全過去記事一覧
(1999年から2015年まで)
レイラの魅力自体は、最初からまったく変わらない。それについての多くの記事。相当ありますが、これらを順に読んでいくと、かなりレイラのことがわかります。
(Soul Searchin’ Archives On Lalah Hathaway, Since 1999 to now)
1999年6月8日
ジョー・サンプル&レイラ・ハザウエイ・ライヴ評。『魔術師の指』
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/sample19990608.html
アルバム『ソング・リヴズ・オン』発売後のライヴ。
2003/02/15 (Sat)
Barefoot Diva:Lalah Hathaway「裸足のディーヴァ:レイラ・ハザウェイ」
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200302/diary20030215.html
2003年来日時ライヴ。
2003年2月14日
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/lalah20030214.html
レイラ・ライヴ評。新聞用とオルタナティヴ・ヴァージョン。
2003年4月30日
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200304/diary20030430.html
レイラのウェッブから。Knocking on Father's Door (レイラが父ダニーの作品をどう思っているかなどについて)
2003年8月19日
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030819.html
レイラ、マーカス、テイク6らのライヴ評。レイラ、「サムデイ・ウィル・ビー・トゥゲザー」を歌う
2004/05/11 (Tue)
As If Two Hathaways As One: Lalah Hathaway & Frank McComb Live
http://www.soulsearchin.com/blog_archives/?p=831
レイラ&フランク・マッコムのライヴ評
February 04, 2006
Lalah Hathaway: Some Songs Were Too Long
http://blog.soulsearchin.com/archives/000809.html
http://www.soulsearchin.com/blog_archives/?p=1499
2006年来日ライヴ評。
2008年05月14日(水)
レイラ・ハザウェイ~ダニーに抱きしめられて
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080514.html
2008年来日ライヴ評。
2010年07月12日(月)
レイラ・ハサウェイ~スペースのある自由度あふれるライヴ
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10588308249.html
2010年07月14日(水)
ジャム・セッション・スペシャル~レイラ・ハザウェイ、アンジェラ・バンドらと
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10589654586.html
2012年01月07日(土)
レイラ・ハサウェイ~楽器に溶け込む「魅惑のロウ・ヴォイス」
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11128363653.html
レイラ・ハサウェイ~ミュージシャンの背中に浮かび上がる音符
2012年01月10日(火)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11131254057.html
■レイラ・ハサウェイ・セットリスト
Lalah Hathaway Setlist, December 23, 2015, Second Set @ Bluenote Tokyo
[ ] denotes original artist/s
Show started 20:32
01. Baby Don’t Cry
02. Little Ghetto Boy [Donny Hathaway]
03. Shine
04. Angel [Anita Baker] – a riff of Rapture – a riff of You’re The Best Thing Yet – a riff of Just Because
05. When Your Life Was Low
06. Forever, For Always, For Love [Luther Vandross]
07. Something
08. Lean On Me
Enc 1. Chestnuts Roasting On An Open Fire (The Christmas Song)
Enc 2. This Christmas [Donny Hathaway]
Show ended 21:43
(2015年12月23日水曜、ブルーノート東京、レイラ・ハサウェイ・ライヴ)
■MEMBERS
Lalah Hathaway(vo) レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)
Tony Cazeau(key) トニー・カズー(キーボード)
Eric Smith(b) エリック・スミス(ベース)
Isaiah Sharkey(g) アイザイア・シャーキー(ギター)
Eric Seats(ds) エリック・シーツ(ドラムス)
Jason Morales(vo) ジェイソン・モラレス(ヴォーカル)
Dennis Clark(vo) デニス・クラーク(ヴォーカル)
ENT>MUSIC>LIVE>Hathaway, Lalah
レイラ・ハサウェイ『ライヴ』(最新作、2015年11月発売)
日本盤
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過去アルバム一覧。ファースト・アルバムから順に。
1992『Lalah Hathaway』 1st album
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Virgin Records Us (1992-06-29)
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1994『Moment』2nd album
http://goo.gl/0azwfF
Virgin Records Us (1994-05-31)
売り上げランキング: 78,712
1999 Joe Sample & Lalah Hathaway『Song Lives On』3rd album
http://goo.gl/WMwB8z
Pra Records (2008-04-29)
売り上げランキング: 30,854
2004『Outrun The Sky』4th album
http://goo.gl/wURdet
Pyramid Records (2004-09-28)
売り上げランキング: 78,446
2008『Self Portrait』5th album
http://goo.gl/NKUSTP
Stax (2008-06-03)
売り上げランキング: 33,972
2011『Where It All Begins』6th album
http://goo.gl/DtbTo4
Concord Records (2011-10-18)
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