□◆ 第88回アカデミー賞を見て~スピーチは誰もコントロールできない
【Nobody Could Control His/Her Speech】
ソーホワイト。
アカデミー、もうちょっとだけソウル・サーチャー的視点で。
2016年2月28日(日本時間29日午前)に行われた第88回アカデミー賞授賞式。今回は、#oscarsowhite (白すぎるオスカー) と言われるほど、ブラック俳優、作品が無視されたことが話題になったが、司会にアフリカン・アメリカンのクリス・ロックを据え、ある意味「ブラック色」を出した感を演出した。
その冒頭コメントは彼の4時間の司会のなかで一番おもしろかった。録画を見て気づいたが、ここでもバックにパブリック・エナミーの「ファイト・ザ・パワー」を小さな音量だったが流しており、「ファイト・ザ・パワー」はショーの最初と最後を締めたことになる。ショーのエンディング・ロールのところで、延々同曲が流れていた。
クリス・ロックは、アカデミーの多様性に触れ、「ハリウッドはレシスト(差別主義)か」と問題提起。それは、女学生の寮で、誰それが好き、誰それが嫌いというレヴェルの話だと茶化した。そして、アカデミーを「ホワイト・ピープルズ・チョイス・アワード(白人が選んだ賞)」と断言、笑いを得た。
そして、中盤、事前にブラックが多く住む映画『ストレート・アウタ・コンプトン』の舞台となったコンプトンの映画館の前で撮ったインタヴューを編集して流した。インタヴューを受ける人たちは全員ブラック。そして彼らは白人の映画やスターに無関心で、何がお気に入りかという質問に『ストレート・アウタ・コンプトン』を口々に語る。
「オスカー・ソー・ホワイト(白すぎるオスカー)」の批判に対し、そのバランスを取ったのかというほどのシーンだ。(笑)
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メッセージ。
もうひとつ、レディー・ガガの「ティル・イット・ハプンズ・トゥ・ユー」(そのことがあなたの身に起こるまで)でのパフォーマンスは、ステージに大勢の大学キャンパスなどでの性的被害者、家庭内での虐待被害者などが登場。その腕の「(被害者である)あなたは、何も悪くない It’s not your fault」の入れ墨を映し出し、パワフルなメッセージを伝えた。これは同曲を含む映画『ザ・ハンティング・グラウンド』のメッセージを含むもの。同映画は、大学キャンパスでレイプされた女子大生の話などを描いたドキュメンタリー作品だ。
https://www.youtube.com/watch?v=g1g13dAywds
https://www.youtube.com/watch?v=ZmWBrN7QV6Y
またサム・スミスは「主題歌賞(オリジナル・ソング)」受賞スピーチで、同性愛について触れたメッセージを語った。
そして、最後、レオナルド・ディカプリオは悲願の受賞スピーチで、最後に地球温暖化の問題を声高に主張、今こそアクションを起こさなければならない、とした。さらに踏み込んで、「汚染者や大企業を代弁しないリーダーを支持しましょう。世界中の先住民のために、そして最も影響を受けている数十億の恵まれない人のために、その代弁者を支持するべきです。未来の子どもたち、政治家たちの欲によって声を消されている人たちのために、です」と述べた。現在進行中のアメリカ大統領選を意識した言葉だ。
他にも受賞スピーチで大統領選に関連して、ちょっと記憶が正確ではないのだが、「トランプはやめよう」といったニュアンスの発言をしている人がいたように思う。
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流れ。
「黒人白人問題」「性的被害者問題」「同性愛問題」「政治問題」などに関するスピーチ。
グラミー賞にせよ、アカデミー賞にせよ、全体的な流れは、ショーのプロデューサーがある程度は決めることができるかもしれない。しかし、真の意味でのそのときの「ショーの流れ」「ショーの印象、インパクト」は結局、パフォーマー、受賞者のスピーチにかかってくるのではないか。そして、その受賞者は誰になるかは、誰も知らない。そして、その誰になるかわからない受賞者が何を言うかは、まさに神のみぞ知る。誰も受賞スピーチをコントロールできないのだ。
そして、そこに出たものが、結局はアメリカの今を如実に反映する。それはグラミーもアカデミーも同じ。生放送で起こるそれがおもしろい。もちろん、はずれもあるが、台本に書かれていないシーンがおもしろいということだ。
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パブリック・エナミーのチャックDが、オスカーで「ファイト・ザ・パワー」が使われたことについてコメント
Chuck D Reacts to Oscars Using Public Enemy's 'Fight the Power'
2/29/2016 by Adelle Platon
http://www.billboard.com/articles/columns/hip-hop/6890776/chuck-d-oscars-public-enemy-fight-the-power?utm_source=twitter
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初めてアカデミー賞を受賞したレオナルド・ディカプリオの受賞スピーチ。地球温暖化の問題についてコメント。全文。(日本語)
http://www.buzzfeed.com/eimiyamamitsu/leo-finally-gets-oscars#.wvMNnlgwk
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ちなみに、今年のアカデミー賞授賞式の中で、もっともツイートが多かった瞬間はディカプリオが初受賞したときで、分速で44万ツイートがあったという。これは、2014年のエレン・ディジェネールのセルフィーの25万ツイートを上回ったという。88回アカデミーで2番目にツイートされた瞬間は、「作品賞」で『スポットライト』が選ばれたとき。3番目は『マッドマックス』が「サウンド・ミキシング」を獲得した瞬間。
Oscar 2016: DiCaprio's win becomes most tweeted moment
The 2nd most tweeted moment of the Academy night was 'Spotlight' winning the Best Picture award
February 29, 2016Last Updated at 15:25 IST
http://www.business-standard.com/article/pti-stories/dicaprio-s-win-becomes-most-tweeted-moment-of-oscar-116022900549_1.html
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ローリング・ストーン誌が選ぶ2016オスカーのベストとワーストの瞬間20。
Oscars 2016: 20 Best, Worst and WTF Moments
From Chris Rock's near-perfect monologue to those damned minions, the highlights and low points of last night's Oscars
BY AMY PLITT, PHOEBE REILLY February 29, 2016
https://www.rollingstone.com/movies/news/oscars-2016-20-best-worst-and-wtf-moments-20160229
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ENT>AWARDS>Academy>Oscar 88>2016>
【Nobody Could Control His/Her Speech】
ソーホワイト。
アカデミー、もうちょっとだけソウル・サーチャー的視点で。
2016年2月28日(日本時間29日午前)に行われた第88回アカデミー賞授賞式。今回は、#oscarsowhite (白すぎるオスカー) と言われるほど、ブラック俳優、作品が無視されたことが話題になったが、司会にアフリカン・アメリカンのクリス・ロックを据え、ある意味「ブラック色」を出した感を演出した。
その冒頭コメントは彼の4時間の司会のなかで一番おもしろかった。録画を見て気づいたが、ここでもバックにパブリック・エナミーの「ファイト・ザ・パワー」を小さな音量だったが流しており、「ファイト・ザ・パワー」はショーの最初と最後を締めたことになる。ショーのエンディング・ロールのところで、延々同曲が流れていた。
クリス・ロックは、アカデミーの多様性に触れ、「ハリウッドはレシスト(差別主義)か」と問題提起。それは、女学生の寮で、誰それが好き、誰それが嫌いというレヴェルの話だと茶化した。そして、アカデミーを「ホワイト・ピープルズ・チョイス・アワード(白人が選んだ賞)」と断言、笑いを得た。
そして、中盤、事前にブラックが多く住む映画『ストレート・アウタ・コンプトン』の舞台となったコンプトンの映画館の前で撮ったインタヴューを編集して流した。インタヴューを受ける人たちは全員ブラック。そして彼らは白人の映画やスターに無関心で、何がお気に入りかという質問に『ストレート・アウタ・コンプトン』を口々に語る。
「オスカー・ソー・ホワイト(白すぎるオスカー)」の批判に対し、そのバランスを取ったのかというほどのシーンだ。(笑)
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メッセージ。
もうひとつ、レディー・ガガの「ティル・イット・ハプンズ・トゥ・ユー」(そのことがあなたの身に起こるまで)でのパフォーマンスは、ステージに大勢の大学キャンパスなどでの性的被害者、家庭内での虐待被害者などが登場。その腕の「(被害者である)あなたは、何も悪くない It’s not your fault」の入れ墨を映し出し、パワフルなメッセージを伝えた。これは同曲を含む映画『ザ・ハンティング・グラウンド』のメッセージを含むもの。同映画は、大学キャンパスでレイプされた女子大生の話などを描いたドキュメンタリー作品だ。
https://www.youtube.com/watch?v=g1g13dAywds
https://www.youtube.com/watch?v=ZmWBrN7QV6Y
またサム・スミスは「主題歌賞(オリジナル・ソング)」受賞スピーチで、同性愛について触れたメッセージを語った。
そして、最後、レオナルド・ディカプリオは悲願の受賞スピーチで、最後に地球温暖化の問題を声高に主張、今こそアクションを起こさなければならない、とした。さらに踏み込んで、「汚染者や大企業を代弁しないリーダーを支持しましょう。世界中の先住民のために、そして最も影響を受けている数十億の恵まれない人のために、その代弁者を支持するべきです。未来の子どもたち、政治家たちの欲によって声を消されている人たちのために、です」と述べた。現在進行中のアメリカ大統領選を意識した言葉だ。
他にも受賞スピーチで大統領選に関連して、ちょっと記憶が正確ではないのだが、「トランプはやめよう」といったニュアンスの発言をしている人がいたように思う。
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流れ。
「黒人白人問題」「性的被害者問題」「同性愛問題」「政治問題」などに関するスピーチ。
グラミー賞にせよ、アカデミー賞にせよ、全体的な流れは、ショーのプロデューサーがある程度は決めることができるかもしれない。しかし、真の意味でのそのときの「ショーの流れ」「ショーの印象、インパクト」は結局、パフォーマー、受賞者のスピーチにかかってくるのではないか。そして、その受賞者は誰になるかは、誰も知らない。そして、その誰になるかわからない受賞者が何を言うかは、まさに神のみぞ知る。誰も受賞スピーチをコントロールできないのだ。
そして、そこに出たものが、結局はアメリカの今を如実に反映する。それはグラミーもアカデミーも同じ。生放送で起こるそれがおもしろい。もちろん、はずれもあるが、台本に書かれていないシーンがおもしろいということだ。
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パブリック・エナミーのチャックDが、オスカーで「ファイト・ザ・パワー」が使われたことについてコメント
Chuck D Reacts to Oscars Using Public Enemy's 'Fight the Power'
2/29/2016 by Adelle Platon
http://www.billboard.com/articles/columns/hip-hop/6890776/chuck-d-oscars-public-enemy-fight-the-power?utm_source=twitter
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初めてアカデミー賞を受賞したレオナルド・ディカプリオの受賞スピーチ。地球温暖化の問題についてコメント。全文。(日本語)
http://www.buzzfeed.com/eimiyamamitsu/leo-finally-gets-oscars#.wvMNnlgwk
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ちなみに、今年のアカデミー賞授賞式の中で、もっともツイートが多かった瞬間はディカプリオが初受賞したときで、分速で44万ツイートがあったという。これは、2014年のエレン・ディジェネールのセルフィーの25万ツイートを上回ったという。88回アカデミーで2番目にツイートされた瞬間は、「作品賞」で『スポットライト』が選ばれたとき。3番目は『マッドマックス』が「サウンド・ミキシング」を獲得した瞬間。
Oscar 2016: DiCaprio's win becomes most tweeted moment
The 2nd most tweeted moment of the Academy night was 'Spotlight' winning the Best Picture award
February 29, 2016Last Updated at 15:25 IST
http://www.business-standard.com/article/pti-stories/dicaprio-s-win-becomes-most-tweeted-moment-of-oscar-116022900549_1.html
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ローリング・ストーン誌が選ぶ2016オスカーのベストとワーストの瞬間20。
Oscars 2016: 20 Best, Worst and WTF Moments
From Chris Rock's near-perfect monologue to those damned minions, the highlights and low points of last night's Oscars
BY AMY PLITT, PHOEBE REILLY February 29, 2016
https://www.rollingstone.com/movies/news/oscars-2016-20-best-worst-and-wtf-moments-20160229
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