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Channel: 吉岡正晴のソウル・サーチン
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○「レスト・イン・パープル、フェイズ4(第5回)」レポート (パート2)

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○「レスト・イン・パープル、フェイズ4(第5回)」レポート (パート2)

 

【Rest In Purple (Phase 4) Report (Part 2)】

 

(パート1からの続き)

 

秘話。

 

クリックを使わない、ドラムマシンは手で叩いて打ち込み、マイクの音量などもあまり気にしない、ほぼリハなしで、すぐに録音、したがっていくつかのオーヴァーダブ(重ね録音)以外、基本的なリズムトラックはワンテイクという超スピード録音。

 

プリンスは結局夜中12時くらいから朝方までの数時間で田村さんたちのカウントで7曲も録音した。そのうち3曲(「マネー・ドント・マター・トゥナイト」「ストローリン」「ウィリング・アンド・エイブル」)は翌年(1991年)発売の『ダイアモンド・アンド・パールズ』に収録された。ツナさんによると、この3曲以外に「5ウーメン」と「サムシング・ファンキー」という曲が存在を知られており、音源もあるという。だが残る2曲は、タイトルなどもまったくわからない。

 

DIAMONDS & PEARLS
PRINCE & NEW POWER GENERA 
WARNE (2002-10-01)

https://goo.gl/wy4FBY

 

 

7曲のレコーディングを終えた朝方、それを一本のカセットテープにまとめ、いつのまにかスタジオに来ていた絶世の美女とともにスタジオ内で、部屋を真っ暗にして爆音で聴いたという。この美女が誰かはわからないのだが、マイテではないそうだ。スガさん。「(7曲を数時間で録音することについて)僕だったら2年かかりますよ。(笑)」「(スガさんもレコーディングが終わったら、美女を呼んで聴いたりしたりしないのか、と問われ) 朝方、そんな体力、僕ももう残ってません(笑)」

 

この録音が行われた正確な日付がまだわからないのだが、ツアー日程(1990年8月30日、31日東京ドーム、9月2日大阪、6日北海道、10日横浜スタジアム、11日・離日)からすると、おそらく1990年9月3日、4日、5日、あるいは、同7日、8日、9日のどれかではないかとみられる。当初は2日スタジオがブッキングされていたが、実際は最初の1日だけで作業は終了してしまった。その点からも、プリンスのレコーディングは速い

ということがわかる。

 

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非完璧主義。

 

僕はその中で、長くプリンスのエンジニアを担当していたスーザン・ロジャーズの2時間のインタヴュー(レッドブルのもの)を前日再度見返していたが、田村さん酒井さんらの話と共通するものを感じ、それを少しお話した。

 

スーザンはこう言った。「プリンスのことをみんなは完璧主義者だというが、私はそうは思わない。意外と細かいことは気にせずに録音していく。音楽的アイデアが豊富なので、思いついたものをすぐに録音したがる。もちろん大きな間違いをしたときは、修正するが、基本的には最初のアイデアを録音したらOKになる。もし彼が完璧主義者だったら、あんなスピードで録音できない。あれほどの数のレコーディングはできない」という話だ。

 

田村さんたちは、翌年アルバムを聴いたときに、そこで録音したものがほぼそのままCDに入っていて、大変驚いたという。デモテープだと思っていたものがリアルな本物のマスターになっていたからだ。

 

その他、細かいプリンス・エピソードが満開となった。

 

やはりロナルド・ブルーナーにしろ、スーザン・ロジャーズにしろ、田村さん、酒井さんにしろ、実際にプリンスにあって仕事などをした人たちのいわゆる「一次情報」は圧倒的におもしろい。次回以降も、ビデオゲストにしろ、登壇ゲストにしろ、プリンスと実際に接点があった人たちをゲストに迎えるのはありだなあと思った。

 

カニさんの進行台本、事前取材で話されたことがここで出ていないとそのことをそれとなく思いださせる質問などをはさみこむ見事な進行で、ひじょうにお客様向けにフレンドリーなイヴェントになった。

 

後半登壇者の一人がステージ上でずいぶん食べたり飲んだりでご機嫌になったのか、かなり酔っぱらってしまい若干見苦しいところがあり、主催者の一人としてお詫び申し上げます。次回からはイヴェントが終わるまで登壇者はステージでの飲食飲酒を自粛いたします。

 

最後、スガさんがこの日即売されたシンコーからのムックについて「初心者向けにとてもよくできた本」として紹介されたため、30冊ほどが売り切れた。そういえば、前回イヴェント時はちょうどリリースされた映画『パープル・レイン』の制作秘話を丁寧に描いた『プリンスとパープル・レイン』が20冊以上売れた。

 

いずれにせよ、トークショーとしては2時間のヴォリューム(過去5回でトーク部分は最長)もあったこと、実際にプリンスと仕事をした人をゲストに招いたことで、5回の中でも充実した内容になったと思う。

 

~~~

 

明日以降の本ブログで、「ロナルド・ブルーナー・ジュニア、プリンスを語る」と題して、この「レスト・イン・パープル」で触れられなかった部分も含めてインタヴューをご紹介します。

 

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次回「レスト・イン・パープル」などの情報は、「レスト・イン・パープル」オフィシャル・アカウントやスガシカオ、カニリカ、吉岡正晴などのツイッター・アカウント、各ブログなどでお知らせしますので、チェックしてください。

 

https://twitter.com/RestInPurpleJPN

https://twitter.com/shikaosug

https://twitter.com/soulsearcher216

https://twitter.com/kanirica

 

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今回ゲストの田村さん、酒井さんのインタヴューが4ページ掲載されているムック

CROSSBEAT Special Edition プリンスシンコーミュージック (2016-06-09)

https://goo.gl/GXn6Yk

 

プリンスとパープル・レイン (音楽と映画を融合させた歴史的名盤の舞台裏)

アラン・ライト 鷺巣 詩郎 (特別寄稿)

DU BOOKS

https://goo.gl/uZ5RbP

 

ENT>MUSIC>EVENT>REST IN PURPLE>Vol.5(Phase 4)

ENT>PRINCE>REST IN PURPLE>Phase 5 (Vol.5)

 

 


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