○ルーサー・ヴァンドロス死して12年~ルーサーとの3度の接点
【12 Year Anniversary Of Passing Of Luther Vandross】
12周年。
今から12年前、2005年7月1日、不世出のソウル・シンガー、ソング・スタイリスト、ヴォーカリスト、ルーサー・ヴァンドロスが死去した。54歳だった。ルーサー死去の報は瞬く間に全世界に衝撃を与えた。
ちょうどその前年4月にリリースされていたその時点での最新作『ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー』はルーサーにとって最大のヒットとなった。
今日は追悼の意を込めて、僕とルーサーとの3度の接点についてちょっと書いてみよう。バラバラではこれまでにも書いたかもしれないが。
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ルーサー・ヴァンドロスは、2003年4月16日にニューヨーク・マンハッタンの自宅で脳梗塞で倒れ、数時間発見されずに倒れていたという。発見後すぐに病院に運ばれ緊急手術が行われたが、長く集中治療室にとどまったため、身体に麻痺が残った。生命を救うため、喉からチューブが挿入されたが、シンガーとしての命、声帯に傷をつけないよう最大級の注意が払われた。
そして2004年2月、グラミー賞授賞式でビデオでメッセージを寄せ、受賞に大きな花を添えた。
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思い出。
僕はルーサー本人のライヴはついに見ることができなかったが、DVDなどでそのライヴの様子はうかがい知ることはできる。
ただゲスト・ライヴは一度見た。1985年頃だと思うが、ニューヨークの97丁目(コロンバス・アヴェニュー)にあったミケールズ(Mikell’s)という小さなライヴ・ハウスでのことだった。ここでシシー・ヒューストンのライヴがあるというので見に行った。ひょっとしたら娘のホイットニーが来るかもしれないと淡い期待もあった。
ホイットニーは来なかったが、なんとそこにルーサーがいて、飛び入りで一曲歌ったのだ。何を歌ったか、今では覚えてないのだが、ルーサーの曲だったのか、シシーの曲だったのか。それほど満員ではなかったが、一瞬にしてミケールズが盛り上がった。
それから1-2年後、ロスアンジェルスのとあるスタジオで日本のレコード会社のフュージョンもののレコーディングがあり、その録音の様子を誘われて見に行った。
するとガラスの向こうのスタジオ内に大柄なブラックの男性がいた。そしてそれがどうみてもルーサーに見えたので、担当のディレクターに「あれはルーサーじゃないの?」と尋ねた。ところがその担当はジャズ専門ということもあってかルーサーを知らなかったので「わからないなあ」と答えたのだ。
録音が一段落つき、その大柄さんがブースから出てきたので声をかけた「ミスター・ルーサー・ヴァンドロスですよね。お会いできて光栄です。ところでなんでまたロスにいらっしゃるんですか」
最初、ルーサーはニューヨークに住んでいて、飛行機嫌いだからロスにはいないだろう、とちょっと不思議だったのだ。するとルーサーは「ああ、ロスにも家があるんだよ」と軽く答えた。この答えは僕にとってはけっこう衝撃的だった。
「もしロスにいらっしゃるなら、インタヴューしたいんですが、大丈夫ですか」と訊くと、ちょっと考えて「う~~ん、今はヴァケーション中なので、インタヴューはできないなあ」という答えが返ってきた。まあ、確かに、いきなりこんなスタジオのセッションのところで、インタヴューを申し込むのもどうかと思うが、諦めて記念写真だけ撮ろうと思い、「写真、一緒にいいですか」と訊くと、「ああ、いいよ。ただし、胸より上にしてくれ」と。これもちょっと受けたのだが、体全体を撮影すると大柄な感じがわかってしまうからだ。
ルーサーはファンの方はご存じの通り、体重の増減が激しくプラス・マイナス5-60キロくらい優にある。このときは上のほうだったので、そう言われたのだろう。
その1年後、1987年10月、たまたまルーサーに電話インタヴューができることになり、東京のエピック・ソニーから電話インタヴューをした。
電話の向うから聴こえるその声、イントネーションがどこかで聴いたことがあるようなそれだった。それは同じブルックリン出身のカシーフの声、話し方でずいぶんと慣れ親しんだ話し方だった。どうやら、それを「ブルックリン・アクセント」ということを、後から知った。
ミケールズでのライヴ、ロスのスタジオでの遭遇、そして、電話インタヴュー。これがルーサーとの僕の3つの接点だ。
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July 03, 2005
Luther Vandross Died At 54: Reunited After 46 Years With His Father
http://blog.soulsearchin.com/archives/000364.html
(万一上記リンクが見られない場合はこちらで↓)
http://www.soulsearchin.com/blog_archives/?p=1295
「ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー」について
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200306/diary20030620.html
歌詞の内容解説→
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200306/diary20030621.html
ルーサー・ヴァンドロス~ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー (中古だったら1円から)
ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー(概要)
Written by Luther Vandross, Richard Marks
「それは、僕が子供だった頃、人生がすべての純真さを失う前のことだった。父は僕を高く持ち上げてくれた。父は母や僕と一緒にダンスを踊ってくれた。父は寝付くまで、僕をあやしてくれ、そして2階の寝室に連れてってくれた。そんな時確信したものだ。僕は父に愛されている、って。
もう一度チャンスがあるなら、一緒に父と散歩をしたり、踊ってみたい。僕は決して終わることがない歌をかけよう。どれほど、僕が父ともう一度踊ってみたいと思っていることか。
母の言い付けに僕が納得できない時、僕は父のところに助けを求めに走ったものだ。父は僕を笑わせ、慰め、でも、結局母の言い付けたことを僕にやらせてしまった。
そんな夜遅く僕が寝ていると、父は枕もとにそっと1ドル札を忍ばせてくれた。そんな父がいなくなるなんて、夢にも思わなかった。
最後にもう一度父をどこからかそっと見ることができるなら、最後のダンスを一緒に踊れるなら、僕は決して終わることがない歌をかけよう。なぜって、僕はもう一度、どうしても父と一緒にダンスを踊りたいから。
ときどき、母がドアの向こうで父を思い出してすすり泣いているのを聴いた。僕はそんな母のために、祈った。
僕は無理なお祈りをしたかもしれない。『母が唯一愛した人をもう一度生き返らせて』っていうお祈りだからね。もちろん、神様、あなたはそんなことは普通してくれないってわかってる。でも、母はものすごくもう一度父とダンスを踊りたいんだ。
僕が寝るとき、これこそが僕が夢見る夢なんだ。」
この曲を聴いた方からのメール。
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030813.html
DANCE WITH MY FATHER (Lyrics) - LUTHER VANDROSS
https://www.youtube.com/watch?v=WQDLu0tRASI
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もうひとつの「ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー」物語
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200402/diary20040211.html
ルーサーの死から1年後の2006年7月1日、僕のイヴェント「ソウル・サーチン:ザ・セッション」で「ルーサー・トリビュート」を。そこではルーサーの親友、ディーヴァ・グレイが登場、また、一人芝居高山広さんが見事な「ルーサー物語」を演じてくれた。あのパフォーマンスは本当に感動した。
そのときの様子。
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_02.html
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_03.html
July 04, 2006
"Soul Searchin': The Session Vol.1"(Part 3): Behind The Back Stage
【ソウル・サーチン・ザ・セッション:舞台裏では・・・】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_04.html
July 05, 2006
"Soul Searchin': The Session Vol.1"(Part 4): After The Dance...
【話はエイント・ノー・ストッピン・・・】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_05.html
July 07, 2006
Takayama Hiroshi Talks About Luther Vandross
【高山広・ルーサーを語る】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_07.html
ENT>MUSIC>SONG>Dance With My Father
ENT>MUSIC>Vandross, Luther