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Channel: 吉岡正晴のソウル・サーチン
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○ニュー・フィリー・トランぺッター、マット・キャピー・インタヴュー

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○ニュー・フィリー・トランぺッター、マット・キャピー・インタヴュー

 

【Matt Cappy Interview With His First Album “Church & State”】

 

フィリー。

 

フィラデルフィア、東海岸のミュージック・シーンで活躍する注目のトランぺッター、マット・キャッピー (Matt Cappy)が初のソロ・アルバム『チャーチ&ステイト(Church & State)』を2017年6月全米のロープ・ア・ドープ・レーベルからリリースした。マットのフィリー関連の有力ミュージシャンたち、たとえば、ジェームス・ポイザー、ユキ・ヒラノ(平野雅之=ビッグ・ユキ)、マイク・バートン、そして、マーシャ・アンブロージアらがこぞって参加している注目盤だ。

 

Church and State

Ropeadope (2017-06-16)

https://goo.gl/uwwSXg

 

 

アマゾン、CD

https://goo.gl/16sQWY

 

収録された全10曲は、ソウル、R&B、ファンク、ラップだけでなく、アフリカン、クラシック、スタンダードなど実に幅広い。まさに多様性をみせる1作になっている。

 

マットが昨年(2016年)ジル・スコットのライヴのため来日していたときに、本作について詳しく聞いていたので、そのときの話とアルバム完成後のインタヴューをまとめて簡単にご紹介しよう。

 

左からMike Burton (Sax), Matt Cappy (Trumpet), Masaharu Yoshioka (The Soul Searcher)

 

試聴(購入も可、デジタル、CDともに)

https://mattcappy.bandcamp.com/

 

~~~

 

教会。

 

マット・キャピーは1974年1月28日ニュージャージー州ベルリン生まれ。ベルリンと言ってもドイツのそれではなく、ニュージャージー州にある小さな街だ。現在43歳。祖父が教会のミニスター(牧師)で、教会に出入りしていたことから、母親もウェスト・ヴァージニア州の教会でオルガンを弾いていた。母は、オルガンの他、ピアノ、クラリネットもプレイ、その影響で、マットの3歳上の姉もクラリネットをプレイ。マットは幼少の頃から同じく管楽器のトランペットを吹くようになった。マットによれば、9歳頃からトランペットを吹くようになった。小学校から吹き始め、その後ニュージャージー州ベルリンの教会でも吹くようになる。

 

その後フィラデルフィアのユニヴァーシティー・オブ・アーツに通うようになり、その傍ら同地の今は亡きウィルミーナというライヴ・レストランに出入りするようになり、ここで多くの地元のミュージシャンたちと知り合うようになった。

 

そうした中で、ジル・スコットやジェイZのツアーに参加したり、マイケル・ジャクソンのレコーディングに参加したりする機会を得て、以後、フィラデルフィアのホットなトランペット・プレイヤーとなっている。

 

フローエトリー、ジェフ・ブラッドショー、ミュージック・ソウルチャイルド、ジャヒーム、ルーツ、カーク・フランクリン、マックスウェル、メリー・J・ブライジ、大物ではアリーサ・フランクリン、トニー・ベネットなどとのセッションを続け、すっかり売れっ子になった。

 

前回のジル・スコットとの来日は、約30本あるツアーの一環でのもの。この時点ではまだ本作は完成していなかったが、その後、見事に完成させた。

 

~~~

 

チャーチ&ステイト。

 

マットが語る。「アルバムの発端はジル・スコットとツアーにでていた2008年、ちょうどカリフォルニアのサクラメントに行ったときだった。ずっと僕は自分のアルバムを作ろうと思っていたんだが、ちょうどその頃、自分のトランペットのサウンドに自信が持てるようになって、自作曲を録音するようになった。というわけで、最初に書いた曲は『サクラメント』という曲になった。

 

マーシャ・アンブロージアとの『アメージング・グレイス』や、スティーブン・コステロとの『ネッスン・ドーマ(誰も寝てはならぬ)』など徐々にプロジェクトが進み始めた。長い時間かけてレコーディングしてきたが、最後に録音したのは、『チャーチ&ステイト』だった」

 

このアルバムのタイトル『チャーチ&ステイト』とは、一般的には「政教分離」のことを示すが、ここではチャーチが宗教で、ステイトは、日々の生活、日々のみんなの状態などを示すという。「アヴェ・マリア」と「アメージング・グレイス」は「チャーチ・サイド」にあたる。

 

「基本的に言えば、アルバム・タイトルは、『世俗』と、『世俗でないもの(非世俗)』ということ。そしてこの二つの要素はミュージシャンとしての僕そのものだから。よく周りから、(世俗的な曲と、ゴスペル的な曲=非世俗的な曲)両方やればいいじゃないかと言われていた。シングルがアルバムを引っ張る時代もあったが、僕は音楽的アート(芸術)を作りたい、聞き手を旅に連れて行く、そんなものを作りたかった。そして、すべての曲が単体でも素晴らしいものでなければならない。10の作品が聞き手の人生に訴えかけ、聞き手を旅に連れて行くことができれば嬉しい」

 

マットが続ける。「僕はトランペットのサウンドとメロディー、グルーヴで(業界内では)知られている。それもあって、最初に『アメージング・グレイス』をやろうと思ったんだが。『チャーチ』という側面ももちろん、『アメージング・グレイス』にはある。一方で、(政治的に)左とか右とかは関係なく、楽しんでもらえればいいとも思ってるんだ」

 

オペラで知られる「誰も寝てはならぬ(Nessun Dorma)」などが入っているところもおもしろい。このストリングス・アレンジはラルス・ハール(Lars Halle)。

 

「僕はこのアルバムは、(料理の)『フル・コース』だと考えている。聞き手に様々な違ったタイプの料理(音楽)を提供する。ジャズ、サンバ、ラテン、アフロビート、グルーヴ、スピリチュアル、ストリングス、クラシカル、といった具合だ」

 

このアルバム用にさらに4曲録音をほぼ終了しており、手をつけて録音を始めた曲が他に4-5曲ある、という。だが最終的には、アルバムにいれた10曲に絞り込んだ。

 

彼は会って話をすると、本当に普通に気楽にいろいろな話ができるタイプの人物で、どんなミュージシャンたちともうまくやっていけるのではないだろうか、と思った。

 

ところで、僕が持っているCDはジャケットと中ジャケの文字が上下さかさまになっている。一体なぜ? わざと? 「いや、単純に印刷間違いだ。最初見た時はがっくりきたが、今となっては、このひっくり返ったヴァージョンは、『コレクターズ・アイテム』になるな、と思っている。(笑)」

 

マット・キャピー・オフィシャル・サイト

http://mattcappy.com/

 

ここにサイドマンとして参加した作品の一覧がでている。

http://mattcappy.com/as-a-sideman/

 

Church and State

Ropeadope (2017-06-16)

https://goo.gl/16sQWY

 

MP3ダウンロード

https://goo.gl/93z2nW

 

写真

 

 

【参考資料】

 

マット・キャピーがラジオゲスト出演したときの同録(約45分)

Matt Cappy "Music Makers" Interview February 2, 2017

by CRAIC Radio  Follow2145m6 months ago

https://www.mixcloud.com/CraicRadio/matt-cappy-music-makers-interview-february-2-2017/

 

ENT>ARTIST>Cappy, Matt

 

 


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