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〇アダム・ホワイトの「ビルボード誌とキャッシュボックス誌のチャートの差について」

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〇アダム・ホワイトの「ビルボード誌とキャッシュボックス誌のチャートの差について」

 

【Adam White’s Column On Difference Between Billboard And Cashbox Magazine Hot 100】

 

チャート。

 

音楽ジャーナリスト、アダム・ホワイトのブログ・コラム(2018年7月27日付け)で1960年代の二大音楽業界誌ビルボードとキャッシュボックスのホット100の違いについて考察している。

 

キャッシュボックスではモータウン曲が22曲1位になっているが、ビルボードでは14曲しかなっていない、という違いはどうやって生まれるのか。

 

A 'Box' of Different Number Ones

July 27, 2018

http://www.adampwhite.com/westgrandblog/these-also-served

https://goo.gl/A7rQTx 

 

もちろん「全米ナンバー・ワン」という称号はレコード会社やアーティストにとって大変な勲章になる。

 

キャッシュボックスで1位になりながら、ビルボードで1位になれず、たとえば最高位2位で終わった楽曲の例としては、マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイング・オン」などがある。

 

キャッシュボックスで1位になりながら、ビルボードで1位になっていないモータウンの楽曲一覧。最初がキャッシュボックスでの1位、その下にビルボードでの最高位。

 

1968: “I Heard It Through The Grapevine” GLADYS KNIGHT & THE PIPS (1)

 

Jan. 13 (Billboard: 2)

 

1968: “For Once In My Life,” STEVIE WONDER (1)

 

Dec. 14 (Billboard: 2)

 

1969: “I’m Gonna Make You Love Me,” DIANA ROSS & THE SUPREMES & THE TEMPTATIONS (1)

 

Jan. 25 (Billboard: 2)

 

1970: “Ball of Confusion,” THE TEMPTATIONS (1)

 

July 25 (Billboard: 3)

 

1970: “Signed, Sealed, Delivered I’m Yours,” STEVIE WONDER (1)

 

Aug. 22 (Billboard: 3)

 

1970: “Indiana Wants Me,” R. DEAN TAYLOR (1)

 

Nov. 14 (Billboard: 5)

 

1971: “Mama’s Pearl,” JACKSON 5 (1)

 

March 6 (Billboard: 2)

 

1971: “What’s Going On,” MARVIN GAYE (1)

 

April 10 (Billboard: 2)

 

1971: “Never Can Say Goodbye,” JACKSON 5 (1)

 

May 29 (Billboard: 2)

 

1971: “Smiling Faces Sometimes,” THE UNDISPUTED TRUTH (1)

 

Sep. 18 (Billboard: 3)

 

1972: “Got To Be There,” MICHAEL JACKSON (1)

 

Jan 1 (Billboard: 4)

 

1972: “Rockin’ Robin,” MICHAEL JACKSON (1)

 

April 15 (Billboard: 2)

 

1973: “Neither One Of Us,” GLADYS KNIGHT & THE PIPS (1)

 

April 7 (Billboard: 2)

 

1973: “Higher Ground,” STEVIE WONDER (1)

 

Oct. 13 (Billboard: 4)

 

1974: “Boogie Down,” EDDIE KENDRICKS (1)

 

March 1 (Billboard: 2)

 

1974: “Dancing Machine,” JACKSON 5 (1)

 

May 18 (Billboard: 2)

 

1975: “Boogie On Reggae Woman,” STEVIE WONDER (1)

 

Feb. 8 (Billboard: 3)

 

1979: “Sail On,” COMMODORES (1)

 

Oct. 20 (Billboard: 4)

 

1980: “Cruisin’,” SMOKEY ROBINSON (1)

 

Feb. 16 (Billboard: 4)

 

1980: “Master Blaster (Jammin’),” STEVIE WONDER (2)

 

Dec. 6/13 (Billboard: 5)

 

1981: “Being With You,” SMOKEY ROBINSON (1)

 

May 23 (Billboard: 2)

 

1982: “That Girl,” STEVIE WONDER (1)

 

April 3 (Billboard: 4)

 

~~

 

ライヴァル誌。

 

ビルボードもキャッシュボックスも当時は各レコード店、ジュークボックス運営者、ラジオ局などから人気曲リストをもらい、それを独自の方法で集計してチャートを決めていた。当時はまだなかなかレコードの売上実数が判明しなかったので、様々な情報源から「売れているもの」の情報(リスト、チャート)を集め、それをすべて手作業で集計した。

 

1960年代から70年代初期までは、アメリカの音楽業界ではキャッシュボックス誌のほうが、ビルボード誌よりも若干影響力があったような気がする。

 

僕は70年代初期から両誌を購読、途中からレコードワールドも購読するようになったが、いつも、ホット100のチャートの差異については興味をもっていた。

 

一般的には、キャッシュボックス誌のほうが動きが速く、チャートの動きが軽い。一方、ビルボードのほうがゆっくりしていて、どちらかというと保守的でなかなか動かない。

 

一時期はキャッシュボックスの方が上位に来るのがビルボードより早いことが多かったが、たまに、ビルボードがキャッシュボックスより先に1位になったり、上位になったりすることもあった。

 

ただ、アダム・ホワイトの指摘通り、キャッシュボックスのほうが1位曲を量産していたので、そちらのほうに多くの広告がはいっていたのかな、という憶測もあった。ただ、主な曲は、たいがい両誌ともに広告を打っており、どちらに偏って広告を打っていたという印象はそれほどなかった。

 

とは言っても手作業で集計するだけに、様々な意図がそこに入る可能性は、コンピューターで集計する現在とはかなり違ったであろう。

 

なお、音楽業界誌3誌のうち、キャッシュボックス、レコードワールドともに倒産、廃刊となり、現在はビルボードのみになっている。

 

~~~

 

アダム・ホワイト @tamla101 とモータウンのバーニー・エイルズが編纂したモータウン豪華写真集について→

https://goo.gl/eHLZdQ  

 

アメリカ版 2016年9月13日発売予定 (5642円)

Motown: The Sound of Young America

Barney Ales Andrew Loog Oldham Adam White

Thames & Hudson

https://goo.gl/pNDW8u

 

日本版:邦題『コンプリート・モータウン』(9720円)(2016年10月26日発売)

アダム・ホワイト バーニー・エイルズ

河出書房新社

https://goo.gl/SD6xSb

 

こういう豪華本を「コーヒー・テーブル・ブック」というが、家の今にどんと置いていて、ときどき気が向くとパラパラとめくるというような書籍だ。つまり、重いので持ち運びが難しいというもの。

 

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