◎サム・ムーア・ライヴ~イースト・ミーツ・ウェスト(パート1)
【Sam Moore Live Report In East Meets West Festival】
伝説。
ウィル・リーが音楽監督となり、イースト(日本のミュージシャン)とウェスト(欧米のミュージシャン)が出会い、一緒に音楽を作るという「イースト・ミーツ・ウェスト」という音楽イヴェント、フェスティヴァルが2019年4月26日(金)から28日(日)まで有楽町・東京国際フォーラム・ホールC(収容人数約1500人)で行われた。ウィル・リーのほか、サム・ムーア、ランディ・ブレッカー、マイク・スターン、日本から日野皓正、渡辺香津美、矢野顕子、臼井ミトンら多数のアーティストが参加した。
「イースト・ミーツ・ウェスト」については、後日レポートするとして、ここでは、ひとまず、このソウル・サーチン・ブログの得意とするサム・ムーアのライヴについてその簡単なレポートをご紹介する。
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伝説。
ソウル界の伝説、サム・ムーアは1935年10月12日生まれだから、現在83歳。2015年12月以来3年4か月ぶりの来日。
最初登場したときは、ステージセンターに向かうまでの足取りがちょっとおぼつかなく心配したが、センターに来て、椅子にしっかりと座り、ひと声だすと、そんな杞憂は吹き飛んだ。あの甲高い元気なソウルフル・ヴォイスはそのままだった。ただ、4週間ほど前に腰を悪くしたということで、基本は椅子に座ってのパフォーマンスだった。しかし、目をつぶって聞いているといつものサム節は変わらなかった。複数アーティストが登場する中、出番は2-30分程度の予定だったようで。セットリストは下記の通り。
普段の移動は、おしゃれな車いすというか、ゴルフのカートのようなものに乗っていた。奥さんのジョイスさんによると、今は毎日針治療をしていて良好だという。
(写真、©(C)Ryo Higuchi)
下記セトリで2~4はカヴァーだが、おもしろかったのは、6曲目。これは5曲目のメドレーが終わったところで、サムがウィルに「何かジャムろう」と誘い、ウィルがうなずき、キーボードのジェフと突然始めたゴスペル・ソング。
あとからジェフに訊くと、最初何をやるかも何も決まってなかったから適当に弾きだしたという。
ジェフが言う。「最初は『ホエン・サムシングス・ロング・ウィズ・マイ・ベイビー』をやろうと思ったが、サムがなにか違う曲を歌いだして、それに合わせてコードを弾き始めた。やった曲は『イン・ザ・ガーデン』、ゴスペルのトラディショナルだ。曲は知っていた。まあ、ゴスペルとかブルーズはだいたいワンコードくらいでできてるからね。なんとなく知ってれば、なんとかなる。それで、サムがあれを歌い始めたのであわせてって、なんとなく曲の終わりがわかったので、曲を終わらせた」
なんと、曲目も何も、打ち合わせも何もなしで彼ら二人だけでやったという。この瞬間、ひじょうにチャーチ―な(教会的な)荘厳な雰囲気になった。それにしても、やる曲さえ決めないで始めて、ぱっとできてしまうのだから、ミュージシャンはすごい。
まさに、ジャム・セッションの醍醐味を垣間見た瞬間だった。
Mahalia Jackson - I Come To The Garden Alone
https://www.youtube.com/watch?v=_2eSfKqMRbA
Anne Murray - In The Garden (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=AzdFHs6j2dE
In The Garden (Lyrics Video) By: Brad Paisley
https://www.youtube.com/watch?v=Xn4dIPkBepk
ジェフには前回ちょっとインタヴューをしていたが、セッション・ミュージシャン、サポート・ミュージシャンとしてもっとも大切なことは、「(相手の音を)聴くこと」だと断言する。
最初は、「ホエン・サムシングス~」を弾きだしても(僕も客席で聴いていてそれかと思った)、サムが違う曲を歌いだしたことをしっかり聴いていたから、対応できたわけだ。僕は、どちらかが曲を間違えたのかと思った。だが、間違えるもなにもない。何も決まっていなかったのだ。
こういう瞬間を目撃できることはまさにライヴならではのこと。
今回の「イースト・ミーツ・ウェスト」は第一回で来年も計画しているという。
(サム・ムーアには短い時間でしたが、再度インタヴューすることができました。後日、弊ブログでもその一部をご紹介します)
■過去関連記事
サム・ムーア
前回(2015年12月)来日時のライヴレポ→
伝説のソウル・マン80歳サム・ムーアは、現役バリバリ(パート1)
2015年12月06日(日)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12103103839.html
サム・ムーア(パート2)~ラスト・ソウル・マン~超一流のストーリー・テラーとして
2015年12月07日(月)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12103396770.html
サム・ムーア元気いっぱい
2013年05月09日(木)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11526534812.html
サム・ムーア~半年で再来日~夏フェス2本に登場(パート1)
2011年07月29日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10966402433.html
サム・ムーア (パート2)~観客をも取り込む名人芸
2011年07月30日(土)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10967752580.html
■セットリスト
April 26, 2019 @ Kokusai Forum Hall C
Sam Moore Session:
[ ] denotes original
Show started 21:16
01. Intro – Hold On, I’m Coming
02. Shakey Ground [Temptations]
03. That Lucky Old Sun [Frankie Laine, LaVern Baker, etc]
04. Money [Barrett Strong]
05. I Thank You / Soul Man
06. In The Garden [Gospel traditional]
07. Imagine [John Lennon]
Enc Chicken [James Brown, Jaco Pastorius]– Freedom Jazz Dance [Eddie Harris] (all)
Show ended 22:01
Members: Sam Moore session
Will Lee (Bass)(Musical Director)
Chris Parker (Drums)
Jeff Young (Keyboards)
Ai Kuwabara (Keyboards)
Yamada Akira (Drums)
Nir Felder (Guitar)
Murata Yoichi (Tromborn)
Nishimura Kohji (Trumpet)
Aaron Heick (Sax)
N’Dea Davenport (Chorus)
Maru (Chorus)
J’Nique Nicole (Chorus)
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