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Channel: 吉岡正晴のソウル・サーチン
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●アリー・ウィリス死去~「セプテンバー」「ブギワン」ソングライター~デトロイトに生まれて

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●アリー・ウィリス死去~「セプテンバー」「ブギワン」ソングライター~デトロイトに生まれて

 

【Allee Willis Dies At 72】

 

訃報。

 

アース・ウィンド&ファイアーの「セプテンバー」、「ブギー・ワンダーランド」、ポインター・シスターズの「ニュートロン・ダンス」の共同ソングライターであるアリー・ウィリスが2019年12月24日、心肺停止で死去した。72歳。

 

本人は楽器を弾いたり、譜面を書いたりはできないが、メロディーはいつも浮かんでくる、といい、他のソングライターと共同で楽曲を制作してきた。主に歌詞の面で多くの作業をしてきたようだ。

 

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2019年12月28日(土)放送の『レディオ・ディスコ』(インターFM、89.7mhz)で吉岡正晴がゲストで登場。そこで「アリー・ウィリス追悼」で詳しく紹介します。

 

インターFMは、ラジコを通じてパソコン、スマホでも聴けます

http://radiko.jp/#!/live/INT

 

 

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左からサマンサ・マロニー、ビリー・アイリッシュ、アリー・ウィリス、2019年11月14日撮影、ヴァラエティー紙より

 

Allee Willis, 72, Dies; ‘Friends’ Theme and ‘September’ Songwriter

By Caryn Ganz and Katharine Q. Seelye

Dec. 25, 2019

https://bit.ly/37aAZJy

 

A Queen of Kitsch Who Made the Whole World Sing

By Matthew Schneier

June 7, 2018

https://nyti.ms/2PVnPKE

 

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評伝。

 

アリー・ウィリスは、本名アルタ・シェラル・ウィリス、1947年11月10日デトロイト生まれ。弟(あるいは兄)と妹(あるいは姉)がいる。父親はくず鉄販売業を営み、母親は小学校教師だった。共に白人。幼少のころからラジオから流れてくる音楽に魅せられていたが、十代のころには、デトロイトに本社があるモータウン・レコードの前の芝生に座り、そのスタジオから漏れてきた音楽を聴いていたという。特にベースの音がよく聞こえてきたので、「これは、マーヴィン・ゲイの『アイ・ハード・イット・スルー・ザ・グレイプヴァイン』だ」などとわかったそうだ。

 

「私はデトロイトから出てきたモータウンやそうした音楽にずいぶんと傾注した。それでこうした音楽が大好きになった。もしこの地に生まれ育ってなければ絶対にソングライターにはなっていなかったでしょう」 いわば、モータウン・チャイルドだ。

 

彼女は正式には楽器を習ったこともないがそうした耳から入ってくる音楽を学んだ。

 

場所柄、そうしたブラック・ミュージックが好きになり、父親に眉をひそめられた。実家の地下室には、彼女が集めた「ブラック・グッズ」(ブラック・メモラビリア)が所せましとあった。のちに知り合いになるジェームス・ブラウンからは、これを気に入られ、ミスター・ブラウンから「集め続けなさい」と言われたという。一方で、父親からはアリーがウィスコンシン・マディソン大学に行くときに、「ブラック・カルチャーにはかかわるな、ダッド」というメモをもらった。

 

大学卒業後、ニューヨークに移り、コロンビア/エピック・レコードに就職。ここで、コピーライト/宣伝などに携わった。新譜レコードが出るときの販売用のチラシを作ったり、レコード・ジャケットに印刷される文字などの原稿を作ったりしていた。そういう部署で働いていたために彼女にとってのアイドル、たとえば、バーブラ・ストライサンド、ローラ・ニーロ、ジャニス・ジョプリンなどと知り合うことができた。

 

ひょんなことから、そのコロンビアで彼女自身のアルバム『チャイルドスター』を出すことになる。1974年のこと。

 

チャイルドスター(紙ジャケット仕様) 限定版

アリー・ウィリス  形式: CD

5つ星のうち4.0    1個の評価

https://amzn.to/369A9fK

(最近日本で初めてCD化されたが、すでに廃盤となり、店頭在庫のみ。ただしブラックっぽい感じはない)

 

このアルバムは当時まったく話題にもならなかったが、これを聞いた当時はまだ無名のボニー・レイットが一緒に曲を書こうと誘ってくれ、ウィリスとデイヴィッド・ラズレイの共作で「ガット・ユー・オン・マイ・マインド」を作った。

 

Got You on My Mind (Remastered Version) -Bonnie Raitt

https://www.youtube.com/watch?v=RFjOU28xDtU

 

Streetlights

Bonnie Raitt

Rhino / Wea (2001-10-22)

https://amzn.to/2t1r1eM

 

これを機に少しずつソングライターとしての仕事がはいるようにはなるが、楽器はできない、楽譜は書けない、しかし、メロディーは出てくる、歌詞は思いつくということで、共同制作者がいれば曲ができるという感じだった。

 

アルバムが売れなかったことで、結局、コロンビアからは離れ、仕事がなくなり、一時期はフードスタンプ(社会保障)で生きながらえたという。

 

その間も、アート関係の仕事や家具の仕事をしたり、ビデオや新しいテクノロジーの勉強をしていた。

 

その後ハービー・ハンコックとパティー・ラベルの推薦でヴァーディン・ホワイトを紹介され、そのつてでアース・ウィンド&ファイアーのモーリス・ホワイトと知り合い、曲作りに誘われ、「セプテンバー」を作る。これが彼女にとって最大のターニング・ポイントになる。

 

このときウィリスは途中で歌詞がなくなり、「バーディヤ・バーディヤ~」というコーラスが入るところを不思議に思い、モーリスに尋ねた。すると、モーリスは「誰が気にする? Who cares?」と答えた。そして、これがウィリスにとって「彼から習ったソングライティングでの最大の教訓だった。それは、以後、グルーヴの中に歌詞の意味などをいれないということ」だという。

 

その後、アースのアルバム『アイ・アム』で多くの曲で、モーリスらと共作。「ブギー・ワンダーランド」も大ヒットになった。「イン・ザ・ストーン」も彼女の作品のひとつ。

 

「ディスコは好きかって? 大好きよ。ディスコに文句を言う人には、全力で戦うわ。(笑) (ディスコの音楽は)素晴らしいメロディーを持ち、人々を高揚させ、あらゆる世界で『ディスコこそスター』よ。ユニヴァーサルな(普遍的な)言葉」

 

Earth, Wind & Fire - Boogie Wonderland | The Story Behind The Song | Top 2000 a gogo

https://www.youtube.com/watch?v=SyL2CLg57lA

 

「ブギー・ワンダーランド」のデモ・テープも聞ける(4分00秒あたり)

 

以後、作曲依頼が殺到し、900曲近くを作ったという。その中のヒット曲にはポインター・シスターズの「ニュートロン・ダンス」、ペットショップ・ボーイズ&ダスティー・スプリングフィールドの「ホワット・ハヴ・アイ・ダン・トゥ・デザーヴ・ディス?」などが生まれた。

 

Pet Shop Boys - What Have I Done To Deserve This

https://www.youtube.com/watch?v=Wn9E5i7l-Eg

 

1986年にはパティー・ラベルが歌いダニー・センベロと共作した「スティア・イット・アップ」(映画『ビヴァリー・ヒルズ・コップ』サントラ収録)で初のグラミーを獲得。

 

インターネット黎明期にもインターネットをやるようになり、初期の早い段階からホームページを作っていた。その頃、まだ無名だったコメディアンのピー・ウィーズ・プレイハウスなどのウェッブページを作っていたという。ピー・ウィ・ハーマンとは古くからの友達だが、彼のショーでは一緒に仕事はしていない。

 

さらに、1995年、テレビ・ドラマ『フレンズ』のテーマ曲として、その後10年ほどながれることになる「アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー」(レンブランツ)がエミー賞にノミネートされた。この年は『スター・トレック』に敗れたが、テーマ曲は長く親しまれた。

 

The Rembrandts- I'll be there for you (official video)

https://www.youtube.com/watch?v=q-9kPks0IfE

 

 

ほかに知られる曲には、マキシン・ナイティンゲールの「リード・ミー・オン」、「空手キッド」のテーマ「ユーアー・ザ・ベスト」。

 

2016年には、映画『ザ・カラー・パープル』のミュージカル盤をブレンダ・ラッセルらとともにてがけ、これが「ミュージカル・シアター・アルバム」としてグラミー賞を獲得した。

 

一方、ウィリスは、キッチュな雑貨なども大好きでそうしたものを集めたり、販売したりしていた。彼女のキャラクターがよく出たウェッブサイト。

 

初期ウェッブ

http://www.alleewillis.com

 

自宅は1930年代のキッチュな趣に彩られ、彼女自身「カラフルな」人物として評され、その自宅は、「ウィリス・ワンダーランド」として知られる。

 

さらに、彼女はさまざまなパーティーを主催することも大好きで、有名人、無名人問わず、多くの人を招待してパーティーを楽しんだ。

 

パーティーにやってきた有名人にはトニ・ベイジル、ジョニ・ミッチェル、シェール、アンジェリン、ポインター・シスターズ、ノーナ・ヘンドリックス、リリー・トムリンなどがいた。

 

 

 

 

 

2018年、「ソングライターズ・ホール・オブ・フェイム(殿堂)」入り。

 

そのときの様子

Allee Willis inducted to the Songwriters Hall Of Fame

https://www.youtube.com/watch?v=h1Ym7HTSC2A&feature=youtu.be%3F

 

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音楽ジャーナリストのAスコット・ギャロウェイが、自身のアリー・ウィリス作品お気に入りベスト12をSNSに発表している。興味深いのでこちらに転載した。

 

A. Scott Galloway Top 12 Favorite Allee Willis Songs:

 

1. "Come Running To Me" - Herbie Hancock

2. "Wait" - Earth, Wind & Fire

3. "(If I Could Only) Change Your Mind" - Al Jarreau

4. "Shaker Song" - The Manhattan Transfer

5. "Next Time You'll Know" - Sister Sledge f/ Kathy Sledge

6. "Lead Me On" - Maxine Nightingale

7. "Your Place or Mine" - Melissa Manchester

8. "Neutron Dance" - Pointer Sisters

9. "Star" - Earth, Wind & Fire

10. "I Shoulda Loved Ya" - Narada Michael Walden

11. "Double or Nothing" - Lani Hall

12. "Dig a Little Deeper" - Brecker Brothers Band

 

Herbie Hancock - Come Running To Me

https://www.youtube.com/watch?v=V4mx3KZ5zhI

 

OBITUARY>Willis, Allee ((November 10, 1947 – December 24, 2019, 72 year old)


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