〇 ビル・ウィザース追悼(パート7)~「ソウル・シャドウズ」:ジョー・サンプルの先達へのリスペクト
【Bill Withers Tribute Part 7 : Soul Shadows】
魂影。
ビル・ウィザースのことをいろいろブログに書いてきたが、「ソウル・シャドウズ」についてちょっと書いていたことを忘れていた。
2014年9月18日付けのソウル・サーチン・ブログだ。これは、そのときの9月11日にジョー・サンプルが急逝し、その特集を僕の『ソウル・サーチン・レイディオ』でやったときの記事。
ジョー・サンプル追悼特集~次々はまる選曲マジック
2014年09月18日(木)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11926289567.html
そこで、今日は「ソウル・シャドウズ」のお話を。
「ソウル・シャドウズ」の歌詞は1978年以来一緒に仕事をしている職業作詞家のウイル・ジェニングスが書いている。ジョーとウィルはBBキングの『ミッドナイト・ビリーヴァ―』のアルバムを一緒に作った。その後、クルセイダーズの「ストリート・ライフ」を共作し、さらに、ランディー・クロフォードなどが歌う「ワン・デイ・ウィル・フライ・アウェイ」を作る。そして、映画『タイタニック』のテーマ「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」ではアカデミー賞を獲得。また、エリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘヴン」も彼の作詞だ。
ビル・ウィザース
ジョーからこんな曲をレコーディングしないかと誘われて、ビルがスタジオに行き、録音した。ジョーによれば、「ファースト・テイクで文句なしだったよ。だけど、ビルが『もう一度やらせてくれ』ってせがむんで、もう一度やった。そうしたら、『もう一回』と。何度かやったんだよね。2時間ほどでビルは帰っていったが、翌日プレイバックを電話越しに聴いたビルは、『なんであんなに何度もやらせたんだ』って言うんだ。(笑) 『いや、私たちはファースト・テイクで十分だって何度も言ったよ』って言い返したよ」という。
この曲のコンセプトは、ジョー・サンプルが偉大な先達に敬意を表明するというもの。そうしたコンセプトをウィルに話し、ウィルが歌詞を書き、ジョーが曲を書いた。クルセイダーズの1980年のアルバム『ラプソディー・アンド・ブルーズ』に収録されている。
ジョー・サンプル
ちなみに、この中ででてくる「スーパー・チーフ」はシカゴからロスまで行く、大陸横断列車のことだ。ジョーの父親は、この「スーパー・チーフ」ではないかもしれないが、こうした大陸横断列車のシェフだった。ここにも、ジョー・サンプルの思いが込められていた。
スーパー・チーフのひとつ
Rhapsody And Blues
クルセイダーズ
Soul Shadows – Crusaders ftg Bill Withers (1980)
https://www.youtube.com/watch?v=x_ShHW5iKlY
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「ソウル・シャドウズ」(ジョー・サンプル作曲、ウィル・ジェニングス作詞)
クルセイダーズ・歌=ビル・ウィザース
サンフランシスコにきーんとした冷たい朝が訪れる
目覚めているのか、夢うつつかぼんやりしている
シカゴからロスへ向かう「スーパー・チーフ」(*)で車窓をともにしたファッツ・ウォーラーが言った
「俺の音楽は本物だ。それ以外はまがいものだ」
彼がプレイすると、彼のソウルは残り香を漂わせた
彼は僕の心の奥深くソウルの面影(Soul Shadows)を残していった
霧が忍び込む窓辺に佇むと、はるかかなたの音楽が聞こえてくる
ジェリー・ロール・モートン(*)がルイジアナのストーリーヴィルでピアノを奏でている
サッチモ(*)がシカゴでむせび泣いている
コルトレーン(*)は心の叫びを音に託していた
彼らのソウルはこの空気の中に漂っていく
彼らは僕の心の奥深くソウルの面影を残していった、ソウル・シャドウズを
【註】
スーパー・チーフ Super Chief は、1936年から1971年までアチソン・トピカ&サンタフェ鉄道(AT&SF)がシカゴとロスアンジェルス間に運行していた大陸横断の旅客列車。
ファッツ・ウォーラー (1904年5月21日~1943年12月15日)。ニューヨーク出身のジャズ・ピアニスト、オルガン、キーボード奏者、作曲家。代表曲に「エイント・ミスビヘイヴィン」、「ハニーサックル・ローズ」など。
ジェリー・ロール・モートン (1890年10月20日~1941年7月10日) ニューオーリンズ出身のラグタイムのピアニストとしてよく知られる。1915年の「ジェリー・ロール・ブルーズ」、「キング・ポーター・ストンプ」などが知られる。
サッチモ=ルイス・アームストロング(日本ではルイ・アームストロングの表記が一般的)(1901年8月4日~1971年7月6日) ニューオーリンズ出身のトランペット奏者、作曲家、ヴォーカル。愛称、サッチモ。「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」が1967年に大ヒット。
コルトレーン=ジョン・コルトレーン (1926年9月23日~1967年7月17日)ノース・キャロライナ州出身のジャズ・サックス奏者。ビバップ、ハードバップ、モードなどからフリー・ジャズまで常に新しい波をクリエイトしてきた。マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンクらとの共演も。
SOUL SHADOWS
Music Written by Joe Sample
Lyrics by Will Jennings
Performed by Crusaders
Sung by Bill Withers
San Francisco morning coming clear and cold
Don't know if I'm waking or I'm dreaming
Riding with Fats Waller on the Super Chief
He said, musics real, the rest is seeming
Oh, deep pain
Feeling that won't go away
There's the sound of his soul in the air
I can hear it up there
And I know he left those soul shadows
On my mind, on my mind, on my mind
Soul shadows on my mind
On my mind, on my mind
Soul shadows on my mind
On my mind, on my mind
Standing by the window as a fog rolls in
I swear I can hear a far-off music
Jelly Roll is playing down in Storyville
And Satchmo is wailing in Chicago
You ought to heard 'em play
Feelings that won't go away
Left the sound of their souls in the air
I hear out there and I know
They left them soul shadows all on my mind
On my mind, on my mind
They left them soul shadows all on my mind
On my mind, on my mind
They left soul shadows on my mind
They left them shadows on my mind
They left them soul shadows on my mind
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ENT>MUSIC>ARTIST>Withers, Bill
OBITUARY>Wither, Bill (July 4, 1938 – March 30, 2020 – 81 year old)
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