◎ ニック・ウェスト~初ライヴ~スター性十分の華ある佇まい
【Nik West & Maxayn Rock The House】
初。
このところ女性ベース奏者がちょっとした話題だ。ヴェテランで言えばミッシェル・ウンデゲオチェロ、最近ではなんといってもエスペランザ・スポールディングだが、その次世代が登場した。その名をニック・ウェスト(Nik West)という。1988年1月26日アリゾナ生まれの26歳。月曜日に「ソウル・サーチン・レイディオ」用にインタヴューし、火曜日にオンエア、水曜日にファーストとセカンドを通しで見た。
第一印象はベースの腕前どうのこうのというより、なによりもその可愛さとかっこよさだ。その存在感に実に華があり、スター性十分ということ。あれは、ミュージシャンがみな共演したがるのも無理はない。ヘアの上にモーヘアーというのかな、ちょっと西洋風ちょんまげのようなものをつけて、フィーチャリスティック(未来風)な衣装で、最近のジャネール・モネイを彷彿とさせる。スタイルも抜群、モデルをしてたというのもうなづける。
2011年にアメリカでリリースされたデビュー・アルバム『ジャスト・イン・ザ・ニック・オブ・タイム』は今年日本盤ボーナストラック含め13曲入りでリリース。その収録13曲の中で一番最後に録音したのが、セットリスト3曲目の「フォービドゥン・フルート」。ほとんどできあがったアルバムに、急にできた曲を何としても追加でいれるということでいれた作品で、今後の音楽的方向性を占う一曲となった。次のアルバムは、この路線のものになるという。
今回の来日バンドは、ユーチューブなどのメンバーとは違い今回のために集められたようだが、ドラムスがヒスパニック系(彼女はここ1年半ほどやっているそう)、キーボード白人、ギターが中国系とさまざまな人種が集まる。ステージではニックの初々しさ、存在感がでていた。ベースをもってぐっと後ろにのけぞったり、ステージにねそべってベースをプレイしながら、足を上げたり、彼女の一挙手一投足はけっこう釘付けになる。絵になるベース奏者だ。
プリンスとの出会いをかなり長尺で語り、「サンキュー」のベース・プレイについて、プリンスから教わったことをおもしろおかしく話した。ニックがプレイしたものを聞いたプリンスがこう弾くんだとやってみせたが、それを聞くだけでプリンスの教え上手なところを垣間見た。たぶん、きっとああやってあらゆる楽器奏者にいろいろ細かく指示を出しているのだろう。だから彼のバンドはソリッドでタイトできっちりしているのだ。そのパーフォーマンスだけでも、ラリー・グラハム、プリンスとニックの違いが出たが、いかに彼らが神の領域にいるかも見せ付けた。
この話は、「ソウル・サーチン・レイディオ」でも紹介したが、その話をした後、客席にいたデイヴ・フロムさんが、「それは本当か?」と声を出したら、彼女は「本当よ」と返した。
本人もプリンスに会ったときのことを詳細にブログに書いていた。
2012年12月19日付け
Playing With Prince
http://nikwestbass.tumblr.com/post/38351546361/playing-with-prince
ニック・ウェスト・インタヴュー(「ソウル・サーチン・レイディオ」)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11770228472.html
ここの本編で「サンキュー」をプレイ。さらに、パーラメントの「ギヴ・アップ・ザ・ファンク」、そして、プリンスの「レッツ・ワーク」へ。ここらへんの流れは、彼女のファンク・ベース奏者としての面目躍如だ。どんどんこの路線でせめてって欲しい。
そして、途中でスペシャル・ゲストで登場したのが、われらがマクサン。一時期日本にも住んでいたのだが、1960年代はアイク&ティナ・ターナーのアイケッツのメンバー、さらに1970年代カプリコーンなどから3枚のアルバムを出し、その後、今では「1970年代のダフト・パンク」とも言えるグループ、マンドレ(マクサンと当時の夫アンドレとのユニット。マクサンのMとアンドレを足してマンドレ)のメンバーとして活躍してきた超ヴェテランだ。その歌声は、ブルーノートの、たぶん彼女のことを知らない観客の度肝を抜くに十分など迫力だった。第一部を見ていたピーター・バラカンさんに、あの途中ででてきたシンガーは誰なの、と聞かれたので、この説明をした。
マクサンは月曜日(2014年2月10日)フィリップ・ウーのライヴ(ブルース・アレイ)でも聞かせたオーティス・レディングの「アイヴ・ビーン・ラヴィン・ユー・トゥ・ロング」、ローリング・ストーンズの彼女もレコーディングしている「ギミー・シェルター」を歌い大喝采を浴びた。いっきにすべてをもっていった感があった。そうそう、マクサンは例の映画『バックコーラスの歌姫(ディーヴァ)たち(20 Feet From Stardom)』にもちょっとだけだが、出ている。
ニックとマクサンのつながりは、マネージャーに共通の友人がいたことから始まったという。
ところで、ニックの歌はかわいらしいが、それを聴いていて最近よく聴く南アフリカのリラの声や歌い方に似ているなあ、と思った。今回の初来日に続いて、早くも次の来日が楽しみになった。
■メンバー
Nik West(b,vo)
ニック・ウェスト(ベース、ヴォーカル)
David Schulz(key)
デヴィッド・シュルツ(キーボード)
Hubie Wang(g)
ヒュービー・ワン(ギター)
Brittany Maccarello(ds)
ブリタニー・マッカレッロ(ドラムス)
Maxayn Lewis (vo)
マクサン・ルイス
■ セットリスト
Setlist : Nik West, Blue Note Tokyo, February 12, 2014
Show started 21:31
01. Intro
02. Wait A Minute
03. Forbidden Fruit
04. Black Beauty
05. Eyes Closed
06. Fallin’
07. I’ve Been Loving You Too Long (Maxyan on vocal) [Otis Redding]
08. Gimme Shelter (Maxyan on vocal) [Rolling Stones]
09. Thank You (For Letting Me Be Myself) - a riff of Dance To The Music [Sly & The Family Stone]
10. Give Up The Funk (We Want The Funk) [Parliament]
11. Let’s Work [Prince]
12. Outro
Encore. Back In Black [AC/DC]
Show ended 22:56
(2014年2月12日水曜、ブルーノート東京、ニック・ウェスト・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>West, Nik
SWEET SOUL RECORDS (2013-11-24)
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