◇◆★『噂のメロディ・メイカー』からサム・クックへ:「与太話」が一冊の著作へ (パート2)
【Sam Cooke & Otis Redding Was Killed: Rumor Has It】
(昨日からの続き)
1980年代、今から30年ほど前、サム・クックとオーティス・レディングの事故死についていろいろと調べているときに、突拍子もない仮説を思いついた。果たして、そのプロットは? あくまで無根拠の妄想話、酒宴での与太話と思って読んでください。(笑)
昨日のブログ。
『噂のメロディ・メイカー』からサム・クックへ:「与太話」が一冊の著作へ (パート1)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11919990109.html
~~~
噂。
サム・クックとオーティス・レディングがそれぞれ1964年12月11日と1967年12月10日、事故死。仮に彼らが同一組織に暗殺されたとすると、彼らが死ぬと一番得するのは誰だ? その得する人間が暗殺犯ではないか。と3日くらい必死に考えて思いついた結論。
1964年、65年以降次々とヒットをだした会社。1968年以降次々とヒットを出した会社。それは何だろうか。
サム・クックのレーベルは、サムの死後、実質的に運営が止まってしまう。また、オーティスが所属していたスタックス・レコードはオーティス死後、停滞し、1975年には倒産にいたる。
はたして1965年以降次々と大ヒットをだすレーベルとは、ずばりデトロイトのモータウン・レコードだ。ベリー・ゴーディーが率いるダイアナ・ロス、スモーキー・ロビンソン、スティーヴィー・ワンダー、テンプテーションズ、フォー・トップスら多数を有するモータウン・レコード。ソウル・チャートだけでなく、白人のトップ40ラジオ局も席巻し、次々とヒットをだし、モータウン帝国を確固たるものにしていく。サムの死後、オーティスの死後、モータウンは、それらと反比例するように、売り上げを伸ばしていく。
モータウンと白人のエンタテインメント業界(たとえば、ナイトクラブやレコード会社、レコード・ディストリビューター)が手を組んで、目の上のたんこぶを抹殺したというプロットはどうだろう。
たとえば、同じブラック・ラジオ局でも、毎週かかるトップ40の枠内に入れる曲には限りがある。そこからサムの曲、関連曲、オーティス、あるいはオーティス所属のスタックス・レーベルのものが減れば、自社の曲の枠が増える、ヒットが増える、というシナリオだ。当時スタックス、モータウンは二大ソウル・レーベルで北のモータウン、南のスタックスと両横綱的存在だった。スタックスをつぶすにはそのときのスタックス最大のスターをつぶせばいい。オーティスだ。
いわば、ライヴァルを蹴落とせば自身が優位になるという、ごくありふれたストーリーだ。
非現実。
だが、じっくり考えて、やはりありえないと思うようになった。これは、ブラック・ミュージックという小さな井戸の中での争いという意味では、考えられなくはない。だが、俯瞰してみると、これは現実的ではないのだ。
というのも、モータウンもヒットを出し、サムもヒットを出し、オーティスもヒットを出しといったほうが、ブラック・ミュージック界、ソウル業界がより白人社会の中で大きな力を持ち得るはずだからだ。つまり、ブラック・ミュージック界全般からみたら、サム、オーティスの死は大きな損失になるのである。
だが、モータウンがより白人のシステムの中で大きな力を単独で得ようとしたら、よりブラック意識の高いサムやオーティスとは一線を画する感じもありえないわけではない。よくある同人種間内のいざこざだ。
ただそうなると、もうひとり、大きな存在が浮かびあがる。ジェームス・ブラウンである。いわゆる白人エスタブリッシュメントの間ではジェームス・ブラウンの存在も目の上のたんこぶだ。だが、彼は暗殺されることもなく、生き延びた。なぜなのだろう。それだけ「強い信念」と「強い運」を持っていたのかもしれない。
1960年代は暗殺の時代だった。
ジョン・F・ケネディー、キング牧師、マルコム・X、ロバート・ケネディー。
ケネディーなど、人種差別撤廃の動きを見せていたのだから、ある意味、ブラックと同義なのかもしれない。
そんな中に、もしサム・クックとオーティス・レディングがはいっていたとしたら…。それはそれは空恐ろしいではないか。
でも、これはあくまで夢想、妄想である。何も根拠はない。フィクションで書けばとてもおもしろいと思うのだが、妄想好き、陰謀論者好きのネタのひとつとしてご笑納ください。
(おわり)
Not Now UK (2011-01-07)
売り上げランキング: 19,963
ワーナーミュージック・ジャパン (2014-09-24)
売り上げランキング: 110,175
ベリー・ゴーディー自伝~モータウン、わが愛と夢
ENT>BOOK>
ENT>Cooke, Sam / Redding, Otis