◇ジェームス・ブラウン・ドキュメンタリー全米で公開
【James Brown’s Docementary “Mr.Dynamite: The Rise Of James Brown” Broadcasted】
放映。
全米ケーブル・テレビHBOで2014年10月27日(月)21時(東部時間)からジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画『Mr.Dynamite: The Rise Of James Brown』が放送された。製作ミック・ジャガー、監督アレックス・ギブニー。
予告編。
http://goo.gl/dSmmYV
ジェームス・ブラウンのドキュメンタリーは、劇場映画『ゲット・オン・アップ』とは別のもので、メイシオ・パーカー、マーサ・ハイ、クライド・スタブルフィールド、ブーツィー・コリンズらミスター・ブラウンの関係者多数にインタヴューして、「キング・オブ・ソウル」の真実に迫る。
約120分の放送枠。ごく初期の1950年代中期の「ワン・ナイト・スタンド」のライヴから、徐々にクロスオーヴァーし、成功していく過程などを描く。マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された翌日のボストンでのコンサートの映像なども使われる。また、リチャード・ニクソン大統領との面会シーンなども出てくるという。
後半では、ジェームス・ブラウンが影響を与えたアーティストとして、プリンスやマイケル・ジャクソンの映像も登場。
インタヴューにはプロデューサーとしても参画しているミック・ジャガーも登場。彼がアポロ・シアターでジェームス・ブラウンを見たときの思い出、その影響などを語る。アポロの隣では、かなり年の行ったレディーが大きなジョイントを吸っていたという。
アレックス・ギブニーのインタヴューによれば、ジェームス・ブラウンがカルチャー(文化)にどれほどの影響を与えたか、どのようにカルチャーを変えたか、という点にフォーカスして描いたという。時期的には、彼が頭角をだし、「ペイバック」(1974年)のヒットあたりまでをひとつの区切りとし、以降は彼の作品がサンプリングという手法でヒップ・ホップの世界などに影響を与えたことを描いている。
アレックスは、ジェームス・ブラウンに「ソウル・ミュージックとは何か」という実にシンプルながら深淵な質問を投げかける。すると、ブラウンは確固たる答えを持っていた。それは、音楽だけでなく、成功へまい進するその原動力そのものだった。ミスター・ブラウンは言う。「『ソウル(・ミュージック)と言うとき、それは、『できない(can’t)』ということを語るのと同じことだ」
ミスター・ブラウンにとっては、その「できない」という言葉こそが、それは「できる」ことへの実現への大きな原動力になっているのだ。つまり、「できない」と言われれば言われるほど、「やってやろうじゃないか」「できるんだ」という気持ちになっていくわけだ。
ジェームス・ブラウンの歴史を振り返れば、常に、周囲から「それはできない」「それは無理だ」と言われることの連続だった。
「アポロ劇場でライヴ・アルバムを録音したい」というと、シド・ネーサンは「できない」という。だが、ブラウンはやってしまう。
各地のライヴを自分で仕切ろうとする。周囲は「できない」という。だが、自分でラジオDJに声をかけ宣伝してもらい、やってしまう。
キング牧師暗殺の翌日のコンサート。周囲は誰も「できない」という。だが、やってしまう。
いつでも、彼は「拒絶」を大きな原動力としてきた。
ジェームス・ブラウンと一緒に仕事をしてきたメンバーは、当初、このドキュメンタリーへの参加を躊躇したそうだが、いろいろな話をするうちに打ち解け、いいインタヴューがこの映像作品をかざっているようだ。
そして監督は、関係者とアーカイブにひたすら何かないか、とあたり、素材を掘り続けた。結果的にこれまでに出てこなかった未発表の写真やアーカイブ映像などが掘り起こされたという。ボストン・コンサートのモノクロの映像も今回探し出したレア映像だそうだ。
アル・シャープトンがインタヴューでまとめた言葉が、アレックス監督も気に入っているようだ。
「ジェームス・ブラウンは、ネガティヴをポジティヴなものにしてしまう。子供の頃に負った傷を、彼は前進する力として、それをアート(音楽)の中に叩き込んだ。だから、彼の音楽にはパワー(力)があるんだ」
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アレックスのインタヴュー
http://www.hbo.com/documentaries/mr-dynamite-the-rise-of-james-brown#/documentaries/mr-dynamite-the-rise-of-james-brown/interview/alex-gibney.html
ニューヨーク・タイムズのレヴュー。http://goo.gl/zi6MjS
ヴァラエティー・レヴュー
https://variety.com/2014/tv/reviews/tv-review-mr-dynamite-the-rise-of-james-brown-1201336927/
ローリング・ストーン誌
http://www.rollingstone.com/movies/news/hbo-debut-james-brown-documentary-mr-dynamite-20140904
公共放送のHBOのドキュメンタリー作品などは、多くが後日アーカイブでネットにアップされるので、この作品もいずれ公開されるだろう。
アレックス・ギブニーは、『タクシー・トゥ・ザ・ダーク・サイド』など多数のドキュメンタリーを作っている監督、映像作家で、2014年1月には、アフリカのフェラ・クティーのドキュメンタリー作品『ファインディング・フェラ』を発表している。(日本未公開)
MOVIE>Brown, James
DOCUMENTARY>Brown, James
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