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Channel: 吉岡正晴のソウル・サーチン
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◎マーカス・ミラー・ライヴ~ワールドトラヴェラーの面目躍如(セットリスト付き)

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◎マーカス・ミラー・ライヴ~世界を旅して~(セットリスト付き)

【Marcus Miller: World Traveller】

世界。

まさに「世界のマーカス」と呼ぶにふさわしい人気ベース奏者、マーカス・ミラーの新作『アフロディジア』をリリースしてすぐのツアー。超満員で立ち見も。ジャズ・ファンというか年配のファンが多いように見受けられるが若い世代もいる。約2年ぶりのマーカス本人のライヴ。

マーカスも事前にセットリストを作らないので、毎回曲が微妙に変わる。初日のセットリストがブルーノートのホームページにすでにでているが、それと2日目のものは違った。

「フランケンシュタイン」から始まり、新作からの「Bズ・リヴァー」。この冒頭で箱に弦がついている楽器がでてきたが、モロッコのフェスティヴァルにでたときに出会ったゲンブリという楽器。いわばアメリカのベースの元になったような楽器だ。

「ジョージ・デュークは知ってるか?」という声から始まった曲は、新作収録の「ウイ・ワー・ゼア」。「ジョージはブラジル音楽が好きで一緒にレコーディングに行った。レコーディングは真夜中から始まったんだけどね」と解説。

そして、この曲ではゲンブリが生まれたモロッコにある「グナワ・ミュージック」という音楽のリズムを取り入れている。そして、これは奴隷の移動とともに、ブラジルにも行き、ブラジルの音楽と混合してブラジルっぽいものになったものだ。いわばこの一曲で、西アフリカからブラジル音楽への旅が垣間見られるのだ。

今回日本在住のトリニダッド出身のトニー・グッピーがスティール・パンで特別参加。新作でスティール・パンを使った曲「ソン・オブ・マクベス」があり、それを知った日本在住のアフリカの音楽家に詳しい平山さんが、トニーをマーカス側に紹介した。2日前に初めて会って、ちょっとサウンドチェックだけして、初日。この2日目も特にリハーサルもなく、ちょっとした合図で曲になんの違和感もなく入いる。トニーも素晴らしいミュージシャンとプレイするとどんどん自分が上のレヴェルにひっぱり上げられていく。そして、両者ともどんどんパフォーマンスが上がっていくのだから、ミュージシャン同士の理解はなんと素晴らしいこと。

「(トニーには)二日前に初めて会ったばかりだ。これが音楽だろう」とマーカスは軽々と言う。

個人的には「モータウンは好きか?」で始まったテンプテーションズの「パパ・ワズ・ア・ローリング・ストーン」から、ラルフ・マクドナルド・トリビュート曲「ソン・オブ・マクベス」への流れ、パフォーマンスは最高だった。「パパ~」の途中で、「トニーはどこにいる?」と言ってトニー・グッピーを呼び込み、いきなり、ソロをやらせ、そのまま「ソン・オブ~」へ。ソロのかけあいなど、お互いがインスパイアーしあっている様子が手に取るようにわかる。まさにライヴのコール&レスポンスの醍醐味だ。

バス・クラリネットとキーボードだけで、スタンダード曲「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」をしっとりと聴かせ、「ハイ・ライフ」へ。

新作CDのトップを飾る「ハイライフ」は、ナイジェリアの音楽スタイル「ハイライフ」のリズムを取り入れたものだが、途中の歌詞はヴォロフ語で「市場に行って、楽しもう」という意味をうたっているそうだ。平山さんに教わった。

そしてアンコールのイントロはニューオーリンズのセカンド・ラインのリズムで始まったウォーのヒット曲「スリッピン・イントゥ・ダークネス」。ここでのピアノのブレットとマーカスのやりとり、マーカスとトニーのやりとり、マーカスとギターのやりとりが圧巻だった。

マーカスはここ数年ユネスコの音楽平和大使として世界各国を旅して、奴隷についての歴史を学んでいる。そしてその音楽に世界の旅の色香が見事にでている。しかもそれをインプロヴィゼーションたっぷりでやってくれるから同じ曲でも毎回違う。マーカスは、我々を素晴らしい世界旅行に連れて行ってくれた。世界のマーカスは、ワールド・トラヴェラーだ。

(マーカス・ミラーについては続く)

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林剛・吉岡正晴DJ@バックヤード

2月22日(日)ブルーノート東京、地下一階バー「バックヤード」で林剛さんと交代でDJをします。入場無料、ドリンク代のみ。時間は午後4時から8時まで。お気軽に直行どうぞ。ライヴに行かず、バーのみのご利用もできます。

~~~

マーカス・ミラーのライヴは、2015年2月23日(月)まで。基本ソールドアウトですが、立ち見なら入れます。

http://www.bluenote.co.jp/jp/
問い合わせ電話=03-5485-0088

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■過去関連記事

もっとも予期せぬパフォーマンス賞=DMS~スーパー・ソウル・ジャズ・サミット
2011年09月14日(水)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11016750001.html

マーカス・ミラー、マイルスに捧げる
2009年09月16日(水)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10343499909.html

September 13, 2008 04:36:29
3人のスター・ベース・プレイヤーが集結
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10138630308.html

December 18, 2007
Marcus Miller Live : His New Album Is “Free”, But It’s Not Free
マーカス・ミラー・ライヴ
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20071218.html
(ここに過去関連記事一覧)

■セットリスト
Marcus Miller @ Bluenote Tokyo, February 20, 2015
[ ] denotes original acts

Show started 21:41
01. Frankenstein [Edgar Winter]
02. B’s River *
03. We Were There (Tribute To George Duke) *
04. Papa Was A Rolling Stone [Temptations] *
05. Son Of MacBeth *
06. My One & Only Love [Frank Sinatra]
07. Hylife *
Enc. Slippin’ Into Darkness [War] – a riff of “Come Together”
Show ended 23:17

■メンバー

Marcus Miller(b,bcl) マーカス・ミラー(ベース、バスクラリネット)
Alex Han(sax) アレックス・ハン(サックス)
Lee Hogans(tp) リー・ホーガンス(トランペット)
Brett Williams(key) ブレット・ウィリアムス(キーボード)
Adam Agati(g) アダム・アガティ(ギター)
Louis Cato(ds) ルイス・ケイトー(ドラムス)

■最新作『アフロディジア』、DVD付き
http://goo.gl/bmSPZs
(ライナーノーツ・吉岡正晴)

アフロディジア (初回限定盤)(DVD付)
マーカス・ミラー
ビクターエンタテインメント (2015-02-18)
売り上げランキング: 122


ENT>LIVE>Miller, Marcus


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